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平成17年1月にスタートした地方税の電子申告。すでに全国47都道府県および13政令指定都市でサービスが提供され、ほかに静岡市、堺市、相模原市、秋田市の4市がサービス開始を表明している。IT社会の便利さを最も実感できるサービスの一つとして、納税者から全国の市区町村での早期実現が期待される地方税の電子申告。全国展開に向けて動き始めた、この新たな行政サービスについて考える。


 地方税に関する申告等の各種手続きの電子化(オンライン化)については、ITの活用によって国民の利便性の向上と行政の効率化を図る観点から、「電子政府・電子自治体」を構築していく上での重要課題の一つとして、その推進を図っている。
 国全体としての推進方針としては、最近では、平成18年1月に「IT新改革戦略」が策定され、この中で「電子政府・電子自治体」に関して「2010年度(平成22年度)までに、オンライン利用率50%以上を達成する」ことが目標として掲げられている。また、これを受けた「重点計画―2006」においては、IT新改革戦略を推進するための政策として、「地方税における申告等のオンライン利用率の向上」が挙げられている。
 地方税の場合、電子申告等を行うことができるようにシステムを整備し、運用するのは、課税庁である個々の地方団体の仕事となる。一方で、地方税は全国の地方団体に対して納税されるものであり、特に、法人課税や固定資産税などは、数多くの地方団体に対して納税を行っている企業がたくさんある。地方税の電子化については、全国共通のシステムを構築し、入り口も一元化することが、利用者の利便性の観点から有効である。
 こうしたことから、地方団体が費用を分担しながら共同でシステムを整備するために、平成15年に「地方税電子化協議会」が設立され、その後はこの協議会を主体として、「エルタックス(eLTAX)」システムの開発と運用が進められている。
 こうした推進方法を採った結果、利用者にとっては、次のような面で利便性の向上が図られると考えられる。
1.多数の地方団体に申告を行う場合でも、一か所(具体的には、ポータルシステムである「エルタックス」)に対して、まとめて送信するだけで良い
2.送信者(申告を行う企業など)の側のパソコンにおける準備が、1種類のソフトウエアを取り込むだけで済む

 また、地方税電子化協議会によって共同でシステム開発を行うこととしたことにより、地方団体にとっても、個別にシステムを整備するケースに比べれば、所要経費が小さなものになるとともに、小規模な市区町村などにおいても電子申告を導入することができることになる、といったメリットがある。

高まる納税者の利用ニーズ

 利用者の立場からみて、現在、どのような手続きが利用できる状況にあるかを紹介すると、次の通りである。
 税目の面では、法人事業税と法人住民税の納付に係る申告と固定資産税の償却資産の申告が利用可能である。法人事業税と法人住民税については、確定申告納付の際の申告だけでなく、中間申告納付の際の申告も可能である。
 また、実施団体の面では、最初に地方税の電子申告がスタートした平成17年1月の段階では6府県のみであったが、都道府県における本格稼働の目標年次であった平成18年1月からは、ほぼすべての都道府県と政令指定都市で利用可能な状況となっており、ここ1年間でエルタックスの実施団体は急速に拡大している。地方税の電子申告もようやく、「近未来の稼働に向けて準備中」ではなく、「全国的に稼働」の段階となったといえる。
 本格稼働となって未だ日は浅いが、利用者の数や実際の申告件数も着実に増加している。具体的には、平成18年3月末時点で、1万2000件を超える利用届がなされている。平成17年6月末時点での利用届け出済み件数は、1200件程度であったことを考えると、届け出の増加ペースは急速に上がっているといえる。これは、時間の経過とともに地方税の電子申告の認知度が高まってきたこともあろうが、何と言っても実施団体が増加したことによって、電子申告を行うことによる利便性の向上効果が大きくなってきたことが背景にあると思われる。
 地方税の場合、支店や工場、営業所等が複数の地方団体に分散して所在している企業は、それらの所在地の地方公共団体に対して、それぞれ申告書を提出して納税することが必要となる。それがこのポータルシステムを利用して電子申告を行えば、一か所へまとめて送信するだけで済み、事務的なコストの面で大幅な省力化が可能となる。このため、地方税の電子申告は、エルタックスへの参加団体が増えれば、加速度的に、利用ニーズが高まっていくと見込まれる。
 また今後は、利用者の利便性向上の観点から、オンライン化の対象税目や手続を拡大するとともに、政令指定都市以外の市区町村のエルタックスへの参加拡大を早急に図っていくことが課題である。
 対象税目・手続きの拡大については、地方税電子化協議会では、第2次システム開発として、現在の法人二税および固定資産税(償却資産)の申告に加え、新たに、個人住民税(給与支払報告書等特別徴収に係るもの)、事業所税、申告手続以外の各種届出・申請および電子納税に係るシステム開発を検討しており、早ければ平成20年1月から順次運用を開始することとしている。


 また、市区町村参加の拡大に向けて、地方税電子化協議会では、昨年より、全国の都道府県ごとに市区町村職員を対象とした説明会を開催しており、市区町村からはエルタックスへの参加に向けて高い関心が示されている。加えて、前述した第2次開発のメニューとなっている給与支払報告書に係る事務は、市区町村における個人住民税の課税事務上、最も短期間に大量の事務処理を要するものであり、この事務の電子化により、市区町村の参加拡大、ひいてはエルタックスの利用率の向上に大きな弾みがつくものと期待される。
 なお、地方税電子化協議会は、今後、市区町村の参加により構成団体(会員団体)の大幅な増加が見込まれること等を踏まえ、システムの共同開発・運用を将来にわたって円滑に進めていくため、構成団体の権利義務や負担基準の一層の安定化・明確化、団体としての意思決定手続きの整理等の観点から、平成18年4月に社団法人化し、新たなスタートを切ったところである。
 電子申告をはじめ、申告・申請等の手続きを電子化することは、多数の課税団体が併存する地方税においては、非常に大きな導入メリットがある。実際、電子申告を利用し始めた納税者や税理士の皆様方からも「便利である」との評価がなされているようであり、また、システム自体も障害を生じることなく、安定的に稼働している。したがって、一定レベル以上に普及が進めば、加速度的に普及が進むものと考えられ、納税側・課税側双方にとって、非常に大きな効果が生じると考えられる。
 三位一体の改革により所得税から個人住民税へ3兆円の税源移譲が実現し、住民の地方税に対する目は一層厳しいものとなる。地方団体においては、税務執行体制の一層の強化が求められるとともに、電子申告はもとより、コンビニ納税の導入など納税環境の整備に向けて工夫を講じていく必要がある。総務省としても、税務行政の円滑な執行に資するよう制度整備に取り組んでいくとともに、地方団体、地方税電子化協議会と連携しつつ、地方税における電子申告等の推進を図ってまいりたいと考えている。



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