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第2回 
納税者のコスト削減効果は?
社団法人地方税電子化協議会 システム担当課長 小田昭文


各市区町村においては、納税者の利便性の向上などを図る観点から、コンビ二収納の導入、クレジットカード納付の検討など、さまざまな取り組みが行われているところですが、地方税ポータルシステム(エルタックス)の導入も、納税者の利便性の向上を図るための重要な一手段になるものと思われます。
そこで、本号では、納税者の利便性の向上という観点から、「法人市町村民税に係る納税者全体のコスト削減効果試算」と「給与支払報告書の提出に係る企業全体の事務処理コスト」についての話題を紹介します。


法人市町村民税に係る納税者のコスト削減効果の試算結果

 電子申告(納税)を行うことにより、納税者には大きくニつの効果がもたらされます。一つは窓口までの移動時間や待ち時間などの短縮効果で、もう一つは交通費や申告書の郵送費などの経費削減効果です。
 地方税電子化協議会では、次の条件の市区町村を想定し、これまで納税者が要していたこれらの負担を金額に換算した上、電子化によりどれくらいコストが削減されるかを試算しました。地方税手続きの電子化は、これらのコスト削減効果以外にも受付時間の拡大や申告(納税)手段の多様化など、納税者サービスの向上にも寄与するものと思われます。
 なお、試算に当たっての基礎数値は、標準的な値として想定した数値を使用していますので、各市区町村の実情に応じて調整してください。
1.試算の前提条件
(1)年間の申告件数
 確定申告5000件、予定申告1000件、修正申告等500件、合計6500件
(2)申告書の提出形態
 窓口受付30%、郵送受付70%
2.試算結果
(1)電子申告について(図1)
 電子申告率が50%()の場合、申告書の提出に係る納税者全体のコストは235万円(41%)削減できると試算されます。これは電子化によって、申告書を窓口へ持参したり郵送する必要がなくなるためです。
*「IT新改革戦略」における、平成22年度までのオンライン利用率目標値で試算
(2)電子納税について(図2
 電子納税の利用率が50%の場合、納付に係る納税者全体のコストは、1083万2000円(48%)削減できると試算されます。これは納税のために、金融機関の窓口へ出向く必要がなくなるためです。


従業員関係手続きは、企業の9割が電子化を熱望

 次世代電子商取引推進協議会(会長・後藤卓也花王株式会社取締役会長/略称・ECOM)から、平成18年3月に『企業の行政関連手続き軽減策の提案』と題する報告書が公表されています。
 本報告書(概要)には、〈企業が特に負担を感じている給与支払報告書の届出や年末調整の負担度合いについて、追加調査を行ったところ、従業員1人当たりそれぞれ2.26時間、2.86時間という結果が判明した。これを従業員50人以上で資本金3000万円以上の企業で合算すると、年間2000億円もの経費が2つの手続きに費やされていることになる(常勤雇用者全体で計算すると、年間1兆1700億円もの負担になる)。〉と記載されています。
 また、本報告書に掲載されている、企業の従業員関係手続きの担当者(1050社)に対するアンケート調査結果を見ると、給与支払報告書の提出などの手続きについて60%弱の企業が負担を感じていると回答しています。さらに、80%強の企業がこれらの手続きをインターネット化することで便利になると感じており、90%近くの企業が実際にインターネット化を進めるべきと考えていることが分かります。なかでも20%強の企業が「税金を投入しても積極的に進めるべき」という一歩踏み込んだ回答をしている点は、注目に値します。
 このことから、企業は行政手続きに係るコストの軽減を切望しており、その手段として電子申告が有効であると認識しているといえるでしょう。なお、本報告書は、ECOMのホームページ(http://www.ecom.jp/)で公開されています。
 「給与支払報告書の電子化」などのエルタックスの機能追加(第二次システム開発)は、平成20年1月のサービス開始を目途に行うことが決定されています。市区町村において電子申告を導入することは、企業のコスト削減および利便性の向上に資するものであり、大きな社会的要請へ応えることにもなると考えます。



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