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住民にどこまで利用されるのか?
オンラインサービス利用状況調査(概況)



特集で紹介した通り、『新電子自治体推進指針』で〈2010年度までに全ての地方公共団体において、行政手続等のオンライン化を実現する〉という方針が示された。しかし、現状を見ると未だ多くの団体がサービス実施に踏み切れず、要因の一つには実施後の不安があると考えられる。そこでTKCでは今年4月、「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」を導入してオンラインサービスを実施している20団体を対象に利用状況調査を実施した。本号では、現時点までに回答が届いた11団体について中間報告する。


 まず、調査対象とした20団体の概要を確認しておきたい(図1)。規模別に見ると、5万人以下が5団体、5〜10万人が3団体、10〜30万人が4団体、30万人以上が5団体、事業団などその他が2団体となっている。このうち、現時点までに5万人以下が2団体、10〜30万人が4団体、30万人以上が4団体、その他が1団体の計11団体から回答を得た。
 回答団体のうち7団体はサービスを開始してから1年以上が経過しており、また、3団体はASPの利用以前からオンラインサービスを実施していたところである。それぞれにサービスを開始した理由(複数回答)を尋ねたところ、すべての団体が「住民サービスの高度化」と回答し、以下に「施設案内・予約業務の簡素化・効率化」「業務の標準化」が高い件数で続いている。

サービス導入はスポーツ施設から

 団体規模により保有する施設数は大きく異なるが、オンラインで案内・予約を受け付けている施設数は10施設以下が四団体、10〜30施設が3団体と規模による格差は見られない。これは1団体を除き、回答団体がスポーツ施設から段階的にサービスを開始しているためである。
 ちなみに公共施設をスポーツ施設と文化施設に分類すると、スポーツ施設のオンライン利用率は高い。これは利用者の属性として「大半がリピーターである」ことと、利用者の年齢層が「インターネット利用率の高い20〜40歳代が多い」こと――が主な理由と考えられる。さらに「携帯電話でアクセスできる手軽さ」なども影響しているといえそうだ。
 では、どのぐらいサービスが利用されているのだろうか。一般に「オンライン利用率は低い」という意識が根強く、回答団体のなかにも最初は半信半疑で始めたケースがある。この点について、利用件数の推移を聞いたところ、すべての団体において時間の経過とともに順調に増えていることが分かった(図2)。件数は団体によってバラツキがあり単純比較できないが、およその目安としては、サービス開始後1か月目の利用件数は20〜50件で、これが半年で2〜5倍に増加している。
 現在、月間利用件数が1000件を突破しているのは2団体で、直近のデータではA市(オンラインサービス対象施設数・29)が2033件、B市(同・37)が3155件となっている。参考までに、この数値はそれぞれの団体の生産年齢人口(15〜64歳)比で2%と1.5%、世帯数比で6%と2.4%に相当する。
 また、アクセス件数全体では、携帯電話からの利用がパソコンや専用端末を上回っており、今後サービスを開始する市町村では携帯電話対応が必須要件といえよう。

オンライン利用率が60%超の団体も

 さて、予約申込件数全体に占めるオンライン利用率(図3)を見ると概ね10%前後といったところだが、2団体が30%台と回答しており、先述したB市では62.3%と『IT新改革戦略』で掲げた達成目標の50%を遙かに上回っている。
 理由としてはいくつか考えられるが、まずASP導入以前よりオンラインサービスを実施している団体では利用率が高く、また抽選申込も含めてオンライン上で予約手続が完了できるところも総じて利用率が高い。このことから、オンラインサービスは時間の経過とともに着実に地域へ浸透するといえ、また利用料の支払いまで一連の手続がオンライン上で完結すればさらに利用促進が期待できる――といえそうだ。
 また、利用促進のため取り組んでいるのが広報活動で、すべての団体が「広報誌・紙」(8団体)、「ポスター」(7団体)、「ホームページ」(4団体)を活用して、「継続的に情報発信」している。その効果は9団体が「ある」とした一方で、依然として広報が悩みでもあるようで「手作りPOP」で温かみのあるPRに努めるなど、試行錯誤している現場職員の姿が浮かんでくる。  では、利用者はオンラインサービスをどう思っているのだろうか。住民からの反応について尋ねたところ、6団体が「便利になったと感じている」と回答している。ちなみに、C市が昨年末に利用者へ実施した「公共施設予約システムに関するアンケート」(携帯電話を除く)では、回答者71名のうち56名(79%)が「便利になった」と回答したという。


電子申告とイベント申込を前向き検討

 利用料の徴収については、「事前に窓口等で支払う」が5団体、「当日支払う」が2団体。また、今後については5団体が「将来的に徴収方法を拡大する」とし、その方法としては「クレジットカード」(3団体)、「コンビニ収納」(3団体)、「マルチペイメント」(2団体)を考えている。なお、自由回答欄でも3団体が「電子納付」に言及するなど、徴収方法の拡大は喫緊の検討課題と認識されていることが分かる。
 また、現在オンライン化を前向きに検討しているサービスは、「地方税の電子申告」(7団体)と「研修・講習・各種イベント等の申込み」(5団体)。自由回答欄にはこのほか「電子入札」「電子申請できる手続拡大」などの意見もあった。こうしたことから、先行団体では“サービスの導入”から、手続数の拡大や決済方法の検討など“住民が利用しやすい付加価値の高いサービスの実施”へ意識が移っていると推測される。
 最後に、今後の課題として指摘するのが「個人認証の簡素化」「オンラインサービスの完結」「業務フローの簡素化・標準化」の3点で、これは新指針が示す「重点的な取組事項」とも一致する。こうして見ると、市町村においても“電子自治体”は単に業務の電子化ではなく新しい行政の在り方として認識され、その取り組みも“点から面へ”と進化しつつあるといえそうだ。



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