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第4回
電子署名の簡素化
社団法人地方税電子化協議会 システム推進課長 笹原 務


今年4月、地方税ポータルシステム(エルタックス)の利用者にとって、非常に大きな手続き方法の変更がありました。本号では、電子申告の今年最大のトピックス「電子署名の簡素化」について紹介します。


電子署名とは

 電子署名は、電子的な“印鑑”のようなものです。電子申告の際に電子署名を付けることで、「電子証明書を持った本人が関わったもの」であり、「内容はその後変更されていない」ことの証明が可能になります。
 実世界と比較するなら、「申告データ」に「電子証明書」で「電子署名」することは、「申告書」に「印鑑」で「捺印」することに相当します。つまり、電子署名は、電子申告の信頼性を確保するために非常に有用なものなのです。
 電子署名を行うために必要な電子証明書には、さまざまな種類があります。最も身近なのは地方公共団体による「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書です。市区町村の窓口で発行するもので、現在は「住民基本台帳カード」に格納する形で提供されています。また、法人向けでは、「商業登記に基礎を置く電子認証制度」に基づく電子証明書が一般的です。さらに、この他にも民間の認証局が発行する電子証明書が多数あります。

目的は納税者の利便性向上

 電子署名は前述のように、非常に有用なものなのですが、それを行うための電子証明書自体が普及しておらず、それが電子申告・電子申請全般の利用率向上の阻害要因のひとつとなっています。
 エルタックスでも、電子申告を行う場合、利用者本人の電子署名が必須で、税理士が利用者に代わって申告データを作成した場合でも、その申告データには税理士と利用者本人双方の電子署名が必要となっていました。このため、税理士がいくら電子申告を実践しようとしても、関与先の理解と協力が得られなければ電子申告を行うことができませんでした。
 このような状況から、エルタックスでは今年4月より、利用率の向上を目的として「電子署名の簡素化」を実施しました。これは「税理士関与の電子申告では、利用者本人の電子署名を省略できる」というもので、今後は税理士の電子署名のみで地方税の電子申告が可能となります。
 利用者本人が関わったものであるという確認は、エルタックスが発行するIDとパスワードを用いて行い、内容が改ざんされていないことについては、税理士の電子署名により証明されます。これにより、税理士関与の場合には、利用者本人はエルタックスの利用に際し、電子証明書を準備する必要がなくなりました。

eLTAX ホームページ http://www.eltax.jp/

 一方、税理士には日本税理士会連合会(日税連)が発行する税理士専用の電子証明書があり、すでに4万人を超える税理士が保持しています。実に日税連への登録税理士の過半が持っていることになり、他の電子証明書とは桁違いの普及割合です。すでに税理士にとって電子署名をすることは、電子申告を行う上での障害ではない状況になっています。
 エルタックスの利用可能手続きは、法人住民税や固定資産税の償却資産分など、主に法人向けの税目です。これらの税目では税理士の関与率が非常に高いため、エルタックスにとって、税理士が利用しやすい環境を整備することは利用率向上に直結するものであり、その最も効果の大きいものが、この電子署名簡素化だったといえます。
 国税の「e―Tax」は、エルタックスに先行して今年1月から同様の電子署名簡素化を実施していました。やや遅れましたが、国税、地方税ともに、同様の考え方で電子署名簡素化を実現し、利用者の利便性を向上することができました。


電子署名簡素化の効果

 電子署名簡素化後、平成18年4月のひと月間での「利用届出」(ID取得のための手続き)の件数は6万件弱となりました。これは、エルタックスがサービスを開始した平成17年1月から、簡素化直前の平成18年3月までの15か月間の利用届出件数を超えるものです。申告件数も前年同月比で6.5倍と高い伸びとなっています。国税の電子申告件数も電子署名簡素化後、急激な伸びを見せていることから、エルタックスでも今年度の目標である利用率3%は充分達成可能と見ています。
 今回の電子署名簡素化で、国税のe―Tax、地方税のエルタックスの双方に関する税理士の認識が高まり、相乗効果での利用率拡大が期待できます。しかし、より一層の普及のためには、やはりエルタックス利用可能市町村の拡大が不可欠です。
 エルタックスの二次開発も順調に進み、来年1月以降、給与支払報告書や特別徴収を中心とした住民税関係の手続きが電子化されます。給与支払報告書の提出の際には、提出先市町村すべてに対しエルタックスを通じて提出できることが理想的です。
 紙と電子の併用では、利用者メリットは限られます。エルタックス利用可能市町村の拡大が利用率の大幅アップ、ひいては市町村の税務事務の効率化、事務量軽減へとつながることになるのです。



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