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 「三位一体の改革」で地方交付税の見直しが進められるなか、市町村にとって税収確保が最重要課題となっています。
 しかしながら、近年、多くの市町村で税金の滞納累積額は増加する傾向にあります。この背景には、バブル崩壊後の長期不況や地方経済の回復の遅れなどが指摘されています。また、特に比較的小規模な自治体では、職員と滞納者との距離が近いなどの理由により、差し押さえなどの厳しい措置が実施されていないことも少なくありません。
 こうした税の徴収率低下に歯止めをかけ、税の公平性を確保するための打ち手として、新たな取り組みが広がってきました。それが、市町村の枠を越えて広域的に滞納債権を整理する「滞納整理機構」と督促業務などの「民間委託」です。

徴収強化へ、他団体や民間と連携

 まず、「滞納整理機構」のメリットとしては、(1)適法性を担保しつつ、マニュアル化しづらい納税交渉などについて技術・ノウハウと人員を集約することができる、(2)機構が判断することにより、何を差し押さえれば滞納額に釣り合うかという評価が適正に行われる――の2点が挙げられます。また、そのほかにも厳正な差し押さえなどを行うことで、滞納者の納税意識を高める狙いもあります。
 全国の事例を見てみると、全県的に設立されるケースと一部地域で設立されるケースがあり、現在発足している組織は以下の通りです。
●全県的に設立した事例(発足順)
茨城租税債権管理機構、三重地方税管理回収機構、愛媛地方税滞納整理機構、徳島滞納整理機構、和歌山地方税回収機構、岩手県地方税特別滞納整理機構
●一部地域で設立した事例
鳥取県中部ふるさと広域連合(倉吉市を中心に1市4町で構成)
仙南地域広域行政事務組合(宮城県白石市を中心に2市7町で構成)など


 こうした連携組織により滞納減の効果は表れてきたものの、一方で課題も少なからずあります。徴税業務に重きがおかれるあまり個々の滞納者の実情に即した納税猶予などの措置が少ない、あるいは滞納整理機構へ業務移管すること自体が地方自治の本旨に反していないかとの声もあります。


 さらに、これとは別に督促業務などの「民間委託」を選択する団体も目立ってきました。例えば、堺市では昨年5月に「市場化テスト法」が成立したのを受けて、民間企業から催告業務に精通したオペレーターなど人材派遣を受け、電話などによる催告業務を行っています。
 また、兵庫県や沖縄県では、税金ではありませんが、県営住宅の滞納家賃のうち退去者に係るものの収納を民間の債権回収会社へ業務委託しています。
 今後、差し押さえや公売などの公権力をもった徴収の民間委託が「市場化テスト法」の下で制度化する可能性もあり、徴収強化に一層拍車がかかることで「税の公平性」も高まることが期待されています。



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