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第6回
給与支払報告書の電子化
社団法人地方税電子化協議会 システム推進課長 笹原 務


 地方税ポータルシステム(以下、エルタックス)では、市町村にとってより魅力のあるサービスを提供するため、2次開発を進めています。今回は二次開発対象のうち、個人住民税に関する部分を中心にご紹介いたします。


来年1月、いよいよスタート

 これまで、エルタックスでの市町村向けの手続きは「法人住民税」と「固定資産税(償却資産分)」のみとなっており、市町村にとっての二大基幹税目である「個人住民税」「固定資産税(土地・家屋分)」については対象外となっていました。
 今回の二次開発では個人住民税のうち、給与支払報告書や特別徴収に関する手続きなど、主に法人が手続きを行うものを対象に開発を進めました。エルタックスの中心的な利用者である法人にアピールすることで、既存の税目と相互に影響しあい、エルタックス全体としての利便性、利用率の向上を目指しています。
 給与支払報告書は市町村の皆さんにとって、個人住民税の課税事務において最多の件数と最大の業務量となっていることは言うまでもないことと思います。毎年1月末を期限として、一度に大量の給与支払報告書が提出され、処理前の事前チェック、パンチ入力、エラー解消の処理やオンラインでの入力など、市町村の規模の大小にかかわらず、この時期の住民税担当部署の中心的業務となっています。
 また、利用者にとっても市町村ごとに仕分けをして提出しなければならないなど、非常に負担感の強い手続きとなっています。これについては、昨年、エルタックスで実施した利用者アンケートでも「提供サービスとして追加して欲しい」という要望が多く寄せられていました。
 このような状況を受け、エルタックスでは平成20年1月から給与支払報告書の提出について電子化を行うこととなりました。

CSVで基幹系へ取り込み容易

 利用者は、エルタックスが無償で提供している「PCdesk」という利用者用ソフトを使用して、帳票イメージで給与支払報告書を作成することが可能です。しかし、給与支払報告書は提出すべき個人別明細の枚数が多いことも珍しくないため、1枚1枚入力するのは効率的ではありません。まとめて給与支払報告書を作成する方法としてCSVファイルを用いた作成もご用意しています。
 総務省から提供されている、光磁気ディスクでの給与支払報告書提出に係る通知において、標準的な給与支払報告書のCSVレイアウトが定められています。これにより作成されたCSVファイルをPCdeskへ取り込んで給与支払報告書を作成できる機能を提供しています。
 また、エルタックスの仕様を公開することで、市販ソフトのエルタックス対応を可能とし、利用者が大量の給与支払報告書をスムーズに提出できるようになります。税理士等が利用している税務・会計ソフトに加え、一般に店頭で販売されている人事・給与関係のソフトでも、今後、エルタックスの給与支払報告書に対応したものが登場する予定です。
 以前ご紹介した、税理士が納税者の代理人としてエルタックスに申告データを送信する場合に、納税者の電子署名を省略できるという、いわゆる「電子署名の簡素化」は、この給与支払報告書についても当然対象となります。税理士等が取り扱う給与支払報告書もかなりの量になりますので、電子署名簡素化によるメリットが非常に効果的に現れると思われます。


 一方、提出を受ける市町村でも、提出を受けた給与支払報告書について総務省通知によるCSVレイアウトで基幹税務システムへ取り込むことが可能です。現在、すでに市町村で行われているMOなどの光磁気ディスクによる給与支払報告書提出時の処理をベースとすることができるため、市町村でエルタックスを新たに導入した際にも、比較的小さい改修規模で給与支払報告書の電子化に対応することが可能となります。

特別徴収の検討など新たな動きも

 平成19年1月の開始時点では、エルタックスを通じて給与支払報告書を提出できる団体は政令市等に限られています。とはいえ、利用者は一つの市町村だけでなく、近隣の複数の市町村に対して給与支払報告書を提出しなければならないことが多いと思われます。
 そこでPCdeskでは、今回、CSVファイルで取り込む際にエルタックス未参加の団体の分も併せて読み込んだ上で、参加団体分のみを申告データとして作成する機能を提供し、利用者の利便性確保に努めています。しかし、紙と電子の混在は避けられないため、利用者にとって電子化のメリットが充分享受できているとはいえない状況となります。やはり、多くの市町村の参加が不可欠です。
 現在、公的年金からの個人住民税を特別徴収することが検討されています。この検討において、公的年金支払報告書が社会保険庁から電子データで提供されることも想定されています。その場合、エルタックス参加団体については、エルタックスを利用して提供できるよう検討していく予定です。また、国税から市町村に対する税データの提供についても国税庁に対し協力を求めていきます。
 このように、市町村の住民税の課税資料等について電子化への流れが顕著になってきています。課税事務のあり方について大きな転換点が近づいているといえるでしょう。


地方税の電子申告へ関心高まる
TKC全国会は10月5日、「地方自治情報化推進フェア2007」(主催:財団法人地方自治情報センター、社団法人行政情報システム研究所)において、地方公共団体を対象に「地方税の電子申告」セミナーを開催した。システム委員会システム普及部会長の芦川浩士税理士が講師を努め、地方税の電子申告・納税の最新動向などを説明。当日は、定員(54名)を上回る受講者が集まる盛況ぶりで、質疑応答では住基カードの有効活用について意見交換も行われた。



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