電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

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「住民基本台帳法の一部を改正する法律」と「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」の施行日が近づいています。そこで今回は、昨年12月に開催された総務省の「外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行等に関する実務研究会」の議論から、法務省と市区町村との情報連携とそれに伴い発生する作業について、今後の見通しを説明します。

大詰め迎えた情報連携の議論

 法務省と市区町村との情報のやりとりには、「法務省通知」と「市町村通知」の2種類があります。
「法務省通知」とは、外国人住民の氏名等の変更の届出、または在留資格の変更・在留期間の更新などの情報を法務大臣から市区町村長へ通知するものです。これを受けて市区町村では、通知内容を外国人住民の住民票に反映させます。一方の「市町村通知」とは、住居地または外国人住民の住民票の記載、消除・修正などの情報を市区町村から法務大臣へ通知するものです。この市町村通知は、法務省通知を行う外国人住民の範囲や通知先となる市区町村を正確に把握するために使用されます。
 以下に、情報連携に関する主要論点をまとめます。
1.情報連携端末について

 法務省との情報連携に伴い、異動情報をやりとりするための「情報連携端末」が各団体へ配備される見込みです。この情報連携端末は、LGWANを経由して法務省の出入国管理システムと連携します(図)。このため、市区町村のネットワーク接続環境や業務形態に応じ、連携方法や運用方法を決める必要があります。

2.住居地の考え方について

 外国人住民が国内で住所を変更する場合、住基法と入管法の双方の届出義務が生じます。ただし、改正入管法に定める住居地の届出をしたとみなされるためには、住所変更の届出時に在留カード等を提出する必要があります。この点について、外国人住民へ十分な情報の周知と注意喚起が必要です。また、住基システムの改修では、住居地の届出が行われたか(在留カード等を持参したか)を管理する機能も検討すべきでしょう。

3.在留カード等への記載について

 当面、市区町村の窓口では在留カード等のICチップへ住居地情報の書き込みは行われない見通しです。しかし、今回の議論では「支所・出張所で転入届の受付を可能とする場合は在留カード等への記載も行うべき」とされているため、支所・出張所も含め受付窓口の体制と運用について確認しておく必要があります。

4.特別永住者について

 特別永住者証明書の導入に伴い、市区町村では新たに特別永住者証明書の交付等に係る事務が発生します。
 現行の外国人登録のような「調製用台紙」や「調製データ」の作成は不要ですが、情報連携端末により特別永住者証明書の交付日を法務大臣へ報告することが求められる見込みです。

5.文字コードの対応について

 外国人住民の氏名を記載する際には、中国語の簡体字などを正字に置き換えて記載することになります。しかし、法務省の定める漢字変換ルールで「正字」として扱われる文字に、ユニコードには存在しない文字が含まれる見込みです。そのため、住基システムで使用している文字コードと、これらの文字コードとを対応づける同定作業が発生すると考えられます。

システム改修も大がかりに

 では、市区町村で今後どのような作業が発生するのでしょうか。以下に想定される作業と実施時期を列挙します(カッコ内は想定時期を含む)。

1.仮住民票の作成準備(平成23年度中)

 施行日の6か月前に、法務省入国管理局は保有する外国人登録記録情報を市区町村へ提供する予定です。ここで提供された情報と原票との記載を確認し、齟齬のある内容を原票へ記載する作業が発生します。
 また、仮住民票発送のための準備や、問い合わせへの対応なども計画する必要があると考えます。

2.情報連携に関する作業(平成23年度末~平成24年度)

 ネットワークの構築作業や機器設置作業が必要です。また、疎通確認のための接続テストも計画されることから、そのための作業も見越しておく必要があります。

3.施行後の事務の準備(平成23年度~平成24年度)

 窓口体制の決定や、住民への広報活動が必要です。また、窓口担当職員への研修も欠かせません。

4.住基システムの改修(平成23年度~平成24年度)

 住基システムの改修にあたっては、住基カードの継続利用への対応や戸籍附票通知の住基ネット対応、平成24年度以降の統計の集計方法などを考慮します。
 また住基システムの改修に加え、関連システムの改修計画や改修したプログラムを適用する際のスケジュールなども検討しておく必要があります。

5.施行直前作業の準備(平成24年度)

 施行直前には、仮住民票を住民票に反映させる作業が発生します。データ確認も含めて作業を計画する必要があります。

6.住基ネット適用の準備(平成24年度後半~平成25年度)

 外国人住民にも住基ネットが適用される適用日に向けて、住民票コードの付番や住民票コード通知の作成準備などが必要です。


 TKCでは、市区町村が今回の法改正へ円滑に対応できるよう、現在、仮住民票の作成や情報連携端末との連携機能について分析するとともに、関連システムの影響度調査を行っています。今後も随時、情報発信します。ご期待ください。