電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

小室

 4月1日、経済財政諮問会議が開かれ、電子政府・自治体の現状に関して議論された。今後、行政では徹底した業務プロセスの見直し・標準化を進め、“利用者視点”に立った行政手続等のオンラインサービスの拡充が求められる。このうち後者においては、住基ネットと住基カードの活用が利便性実感への鍵となろう。
 行政の大部分を占める対人行政の出発点は「本人確認」である。本人確認は、行政だけでなく契約など社会生活上も欠かせないもので、住民基本台帳をベースとした住民票や印鑑証明がその基幹を成している。住基ネットは、住民票がなくてもネットワーク上で安全かつ確実に本人確認できる仕組みであり、収録情報(氏名・性別・生年月日・住所・コード及び変更情報)の限定、法律・条例による利用規定、十分なセキュリティ対策と全国の市区町村・都道府県の堅実な運用が3月6日の最高裁での合憲判決につながった。
 住基ネットの利用により、年金受給者の毎年の現況確認が省略され、年間で93億円と指摘された過給付の解消にも役立っている。また、本人確認情報の国の行政機関等への提供は、昨年度約1億件となった。さらに「消えた年金」に対し、第三者検証委員会のサンプル調査では3分の1がヒットし、今年になって270万件の突合が行われた。都道府県においても、旅券発給事務のサービス向上、自動車税納税者の住所のフォローへの活用が始まっている。
 住基カードは、身分証明書として有効であるとともに、ICチップには先の所得税の電子申告の際に用いた公的個人認証の電子証明書が格納される。病院の診察券、商店街のポイントサービス、地域通貨・電子福祉チケットなどへの活用例があるほか、さまざまなアクセスキーの格納も可能だ。また、「証明書自動交付機を利用した住民票の写し・印鑑登録証明書・納税証明書等の交付」「公共施設の空き照会・予約」「図書館の利用貸し出し」「救急車内でのかかりつけ医や緊急連絡先の読み出し」など7つのサービスについては、当センターからICカード標準システムを提供しており、広域利用も可能だ。特に証明書の交付では、今後、コンビニへの展開も望まれている。
 さらに、電子申告や電子入札などの進展では、セキュリティ性の高い「総合行政ネットワーク(LGWAN)」の活用が期待される。LGWANを介して提供されるASPサービスであれば、安全・廉価に民間のソフトやノウハウを活かせるだろう。
 その他にも、共同アウトソーシングや地域情報プラットホーム、あるいは地域SNSを活用する市区町村も増えてきた。こうした環境・インフラをいかに活用するかは、各自治体の工夫にかかっている。その際、忘れてならないのが情報セキュリティ対策で、当センターでは昨年度4万人が受講したeラーニングによるセキュリティ研修をさらに充実させる計画だ。電子自治体とともに、地方公共団体の情報化推進を担う我々も進化の歩みを止めることはない。