電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

タイトル

 いま、私も参加するIT戦略の今後の在り方に関する専門調査会において、「デジタル新時代に向けた新戦略」策定に向けた検討が進められている。
 数年のうちに、電子私書箱や引越・退職手続ワンストップなど「次世代電子行政サービス」が現実のものとなり、行政の組織やサービスもこれまでとは一変することだろう。住民本位の電子社会「デジタルジャパン」の幕開けである。だが、それには「つながらない壁」を突破しなければならない。人と人、サービスとサービスのつながりは、人の力を増強させ、住民の利便性や価値を高める。行政の効率化や透明性も飛躍的に向上させることができる。
 データを連携させて“つなぐ”ことは、本来ならITが最も得意とするところだが、残念ながらいまの電子行政には十分活かされていない。もし、国や市町村のバックオフィスが相互連携していれば、住民は多くの煩雑な申請・手続から解放され、行政側も確認作業だけでデータ入力が不要となる。住基ネットには、「付記転入・転出」のつながりの仕組みがあるが、ほとんど使われていない。仕組みは作られたが、現場での意識や業務改革が不十分である。
 次世代電子行政サービスの基盤は、もはや自治体が個々に整備するのではなく、国と地方との円滑なデータ共有・連携を考えて一体的に構築・運用されるべきで、ぜひ国のイニシアティブ発揮に期待したい。個々の市町村もその重要性を認識して積極的な取り組みが必要だ。
 その第一歩は従来の「申請主義」「縦割行政」から脱却し、ITを使っていろいろな仕組みを有機的に結びつけ、住民に価値ある「生活支援型サービス」を一体的かつ能動的に提供していくことだ。行政サービスの理想は、ワン・トゥ・ワンと考える。地域の特性を踏まえ、住民視点でニーズをとらえたサービスをいかに設計・充実させるかは基礎的自治体の役割であろう。
 市川市の取り組みとして、「eモニター制度」がある。これは行政と住民を直接つなぐ双方向のコミュニケーションチャネルだ。約4,000名の会員から電子メールで意見を集めて市政に反映するものだが、その利用は単なるアンケートシステムには終わらない。例えば、「地域ポイント制度」とつなぐことで、市民はポイントを受け取り、これを市民団体に寄付することができる。これによって、市民団体は自分たちの活動を地域の人々へ情報発信するようになった。まさに行政と住民、人と人がつながることで互いに影響し合い、地域が活性化していくのである。4月からは、環境省の「環境家計簿」とつないだ「eエコ」事業も始め、CO2削減分をポイント還元する。
 すでに韓国や欧米諸国などは、電子行政では日本より一歩先を進んでいる。スピード感をもって意識・業務改革を進めなければ、日本は世界から取り残される。住民の利便性や行政サービスの質の向上へ、互いに連携し「次世代電子行政サービス」を実現させようではないか。