電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

タイトル

 8月7日に平成20年度行政手続オンライン化等の状況が総務省より公表された。それによると、国の行政手続におけるオンライン利用率は34.1%(対前年比12.2%増)、他方、地方公共団体の行政手続におけるオンライン利用率は27.6%(対前年比3.8%増)となっている。
 平成18年1月に策定された『IT新改革戦略』では、2010年度(平成22年度)までに国・地方におけるオンライン利用率50%達成が政策目標として掲げられており、その期限が迫りつつある。そこでこれまでの取り組みを踏まえ、オンライン利用促進に関し、私の思うところを記したい。
 オンライン手続の利用状況を個別に見ていくと、利用が一定程度進んでいるものと、ほとんど進んでいないものとの差が年々拡大する傾向にある。オンライン手続と一口にいっても、利用者の属性、手続の特性、利用促進にあたっての障害など、置かれている状況はさまざまであり、その違いが利用率の差として現れているものと推察される。
 取り組みを行う以上、すべてのオンライン手続における目標達成が理想であろうが、現実的とはいえない。そこで利用率向上を見込めそうにない手続は思い切って利用促進の対象から外し、向上を見込める手続へ集中的に資源を投入するメリハリのある取り組みが現実解なのだろうと考える(なお、国の手続については、昨年9月の『オンライン利用拡大行動計画』において右の重点化を行ったところである)。
 具体的にオンライン手続の利用向上を進めていくなかでの問題点として、第一に、電子政府・電子自治体のシステムが提供側の論理で構築された結果、利用者にとって使い勝手の悪いものとなっている点が挙げられる。利用者の視点に立ったシステムの見直しが必要であるが、その際、業務の見直し(BPR)の観点から、添付書類の削減や余計なプロセスの割愛といった取り組みを併せて行うことが効果を上げるためには必要である。
 第二に、オンライン手続自体の認知度がまだまだ低い点が問題である。利便性の高いものを用意しても、その存在を知られなければ利用につながらない。周知・広報等認知度を高める取り組みの強化も必要である。
 これらの問題を解決するために、最近、オンライン手続を実際に体験できる場の構築の重要性を感じている。認知度の向上につながるのは当然のことであるが、住民等が実際に利用し、その欠点を指摘することで、改善点がより明確になるからである。利用者の視点に立った改善は、提供側だけで進めるのではなく、利用者の生の声を反映することにより、実効性を伴った改善が行えるものと認識している。
 この他にも手数料の軽減や処理時間の短縮といったインセンティブの付与など、住民等が利用してみてその利便性が実感できる環境を構築することが、オンライン手続の定着にあたっては大切である。目標期限が迫る状況であるが、オンライン利用の向上に向け、PDCAサイクルに基づいた継続的な取り組みの実施を期待する次第である。