電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

タイトル

 地方公共団体では、これまでそれぞれの団体が情報システムを調達、運用してきた。しかしながら、社会環境の変化により、いまや財政状況が逼迫し、職員数も減少するなかで、業務プロセスの改革と情報システムの見直しが喫緊の課題となっている。これを解決する有効な手立てとして、現在、導入促進に取り組んでいるのが「自治体クラウド」だ。
 自治体クラウドとは、近年さまざまな分野で活用が進むクラウドコンピューティングを、電子自治体の基盤構築にも採り入れようというものだ。総務省では、これまでにも共同アウトソーシングなどを推進してきたが、自治体クラウドでは、情報システムの共同利用にとどまらず、ネットワークやデータセンターを活用することで、情報システムの効率的な構築と運用を目指す。最終目標は、これにより生み出されたリソース(コストや人員など)を住民サービスへ再投資し、地域力の創造へつなげていくことだと考えている。
 平成21年度からは、「自治体クラウド開発実証事業」も開始した。現在、6道府県78市町村が参加し、アプリケーション接続など、情報システムの集約と共同利用に向けた開発・実証を行っている。また、情報システムの共同利用にあたっては、業務プロセスの標準化が欠かせない。これについても、開発実証事業において担当職員同士が徹底的に議論しているところで、一定の成果を得られると考えている。
 自治体クラウドの導入促進は、情報化コストの最適化や業務の標準化に限らず、国民本位の電子行政を確立する上でも重要なテーマといえ、今夏、総務省内に大臣を本部長とする「自治体クラウド推進本部」を設置した。今後、具体的な取り組みの方向性や支援のあり方なども検討する。
 自治体クラウドは、各団体が個々の事情に合わせて柔軟に取り組むべきものであろう。
 例えば財政規模の小さな団体であれば、基幹業務システムの共同化による効果は大きいだろう。一方、大規模団体であれば、第一ステップとしてASP/SaaSに取り組むのもいいだろう。
 自治体クラウドの活用には克服すべき課題もある。例えば、サービスの調達や事業者との契約について、市区町村が理解を深めることが必要であり、活用に向けての情報提供が重要になる。
 そのため、総務省では標準仕様など必要なドキュメントを随時提供していくことにした。例えば、実証実験を機に『自治体クラウド開発実証に係る標準仕様書(平成21年度版)』を作成・公表したが、これについては今後も継続的にブラッシュアップを図っていく計画だ。また、実証実験の成果も広く公表するつもりである。
 国民本位の電子行政の構築に、ゴールはない。「自治体クラウド」の推進によって、地方公共団体の情報システムの最適化、住民サービスの一層の向上などを促進していきたいと考えている。(談)