電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

タイトル

 町田市役所は平成24年度の庁舎移転を機に、情報システムを刷新する取り組みを1年半前から始めました。手法は次の通りです。
【統合化】庁内に乱立するサーバ群を仮想化し統合・集約する
【標準化】業務システム間の連携を、地域情報プラットフォームに準拠させる
【簡素化】職員が手元にデータを持たない、シンクライアントの仕組みに全面移行する
 これらによって、移転完了時にはシステムに係わる総経費を半減させ、捻出した財源で業務のさらなるIT化や、市民協働の仕組みづくりなど新たな取り組みに充てる計画です。
 このうち、「標準化」や「簡素化」では短期的なコスト削減は見込めませんが、「統合化」では共有による設備圧縮という即効性が期待できます。加えて、データバックアップの取得、ハード障害時の予備系への切り替え、負荷分散などの手順が統一でき、継続的な運用負荷の軽減に貢献します。
 また、サイジング(システムの稼働に必要な性能・台数を見積もること)も難しく考える必要はありません。最新の仮想化技術では設備設計が柔軟で、不足すれば追加するという現実的な対処が可能です。当市では、ほかの事例を参考に物理サーバ比率を5分の1以下と想定し、ざっくりとしたサイジングを行いました。その結果、初年度で3億円規模のコストを削減することができました。今後、物理サーバ比率を10分の1にはできる見通しです。
 いまや、戸籍などの一部基幹システムを除き、すべてのシステムを庁内で運用する必然性はありません。また、地域情報プラットフォームの採用で、業務ユニットを複数拠点に分散することも可能になりました。さらにシステムが庁外で稼動していれば、庁舎移転も楽になります。
 そこで、当市では、「法的な制約がない」「データ転送量が少ない」「庁内設置に比べ廉価」の三つの基準を満たすシステムは、積極的に商用の「プライベートクラウドサービス」に移すことにしました。今後、一部基幹システムを含む200サーバ相当を庁内・外クラウドに集約します。また、庁内と同一の仮想化方式を採る庁外クラウドを使うことで、仮想マシンレベルの交換を可能にし、事業継続計画への対応も目論んでいます。
 当市の場合、庁舎移転を控えていることで、情報システム刷新への理解も得やすい環境にあります。それでも財政状況が一段と厳しさを増すなかでは、まずコスト削減がないと議会や市民の理解は得られません。
 システムの最適化は、本来、業務そのものの再設計を意味します。当市でも部分的ながら、業務のシステム化に際し作る計画書について、評価委員会が審査することを制度化するなどの工夫を始めました。
 自治体の規模にかかわらず、プライベートクラウドはすぐにでも利用可能です。まずは短期的なコスト削減を図り、並行してより大掛かりな最適化の計画を立て実行するのが、現実的な解ではないかと考えます。