電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【巻頭言】

タイトル

 埼玉県長瀞町(人口7,915人)は、県の北西部に位置し、全域が県立自然公園に指定されています。国指定の名勝・天然記念物「長瀞」やロウバイの咲く宝登山など、豊かな自然を有するまちで、今年5月には、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』に県内の観光地として初めて掲載されたこともあり、多くの人が訪れています。
 長瀞町では、県の個人住民税市町村表彰・納税率アップ率部門を平成21年度、22年度と連続受賞するなど、これまで「納税者の利便性向上」と「納付率の向上」を積極的に推進してきました。そして、その一環として平成23年度より開始したのが「コンビニ収納」です。近年、長瀞町へ居を構えて近隣市で働くという住民が増えるなかで、納税者のライフスタイルの変化に合わせた収納チャネルの拡大へ取り組んだものです。
 当初、庁内の反応は消極的でしたが、連続表彰も追い風となって今回のサービス実現につながりました。
 利用状況を見ると、初年度にも関わらず軽自動車税全体の25%がコンビニ収納となるなど、予想を上回る結果となっています。これは見方を変えれば、納税者がこれまで潜在的に不便さを感じていたことを示すものともいえ、コンビニ収納の導入で多少なりとも利便性向上へ貢献できたのではないかと考えています。
 また、納付率向上の観点から、税徴収業務の一部を民間委託する形で平成22年に開設したのが「納税コールセンター」です。これは、現年度の新規滞納者の抑制と徴収率向上、それに伴う督促件数の逓減を図るために取り組んだものです。具体的には、納付期限が過ぎても未納状態の納税者に対して期限の到来を案内し、“うっかり忘れ”を防止しています。これも小規模団体としては、あまり取り組み例がないようですが、その効果はてきめんで、期限内納付の割合が増えるとともに、督促の件数もかなり減らすことができました。
 公平公正な税徴収には、なるべく初期段階で滞納の悪循環を断ち切り、滞納額を増やさないことが重要です。この点、行政と民間の協働による徴収手法は滞納増に歯止めをかける一つの有効な手段といえ、今後は共同委託など小規模団体にも活用しやすい環境が整うことを期待します。
 今後の計画としてはクレジット収納の検討も進めていますが、そうした新たなサービスを始めるには必ず「費用対効果」が求められます。その場合、行政にとってどれだけの効果があるかが問われがちですが、真に考えるべきは納税者にとっての効果です。そして、その効果のひとつが“不”の解消だと考えます。
 いま、住民はどんな点に不便・不安・不満を感じているのか、また、どうすればそれを解消して便利・安心・満足に変えることができるのか。前例にとらわれず、常に新たな視点で考えることは、団体規模に関わらず行政本来の職務だと思います。
 さらに行政サービスの在り方では、これまで以上に民間や他団体との連携が重要になるでしょう。そうした行政経営を取り巻く環境変化にも柔軟に対応しながら、今後も「納税者の利便性向上」「納付率の向上」へ取り組みたいと考えます。