電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【連載】

社団法人地方税電子化協議会(以下、協議会)が運営する地方税ポータルシステム(エルタックス)の利用件数が、9月末現在で85万件を突破しました。また、来年1月からは200団体を超える市区町村で「地方税の電子申告」の受付がスタートします。これにより都道府県と併せて約300団体へ申告が可能となり、一層の利用拡大が期待されます。そこで今回は、改めて現在の利用件数とエルタックスの普及状況について紹介します。

エルタックスの概要
 エルタックスとは「地方税ポータルシステム」の呼称で、地方税の申告、申請、納税などの手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムのことです。
 これまで納税者や税理士等は、それぞれの地方公共団体ごとに申告書を紙で作成し、窓口へ持参あるいは郵送しなければなりませんでしたが、エルタックスを利用することで、電子的な一つの窓口から各地方公共団体へまとめて手続きできるようになりました。
 平成20年10月現在、利用可能な手続きは次の通りです。
1.申告
【都道府県税】
・法人都道府県民税
・法人事業税
【市町村税】
・個人住民税(給与支払報告書等)
・法人市町村民税
・固定資産税(償却資産)
・事業所税
2.申請・届出
3.納税(申告税目のみ可)
 また、平成20年10月現在のエルタックス稼働団体は、47都道府県と15政令指定都市および3市1町です。
 
順調に伸びる利用件数
 図は、エルタックスの利用状況を示したものです。
 これを見ると、平成19年4月を境に「利用届出件数」と「申告件数」が急激に伸びていることがわかります。これは電子署名の簡素化による効果が顕れているものと想定されます。電子署名の簡素化とは、「税理士関与の電子申告では、利用者本人の電子署名を省略できる」というもので、税理士の電子署名のみで地方税の電子申告が可能となるものです。これにより、利用件数が急増しました。
 平成20年9月30日現在のオンライン利用率(対象税目:法人都道府県民税、法人事業税、法人市町村民税)は、申告件数全体の13%を占め、なかにはオンライン利用率が25%前後に達するところも数団体あります。
 さらに、公的年金からの個人住民税の特別徴収制度の実施に伴い、平成21年1月には約1200の市区町村がエルタックスを利用、そのうち約200団体で電子申告の受付が始まる予定です。これにより、これまで市町村では19団体しかなかった実施団体が大幅に拡大し、電子申告の利用率が飛躍的に伸びることが期待されています。
 また、利用件数が急伸したもう一つの理由として、平成20年1月からエルタックスで個人住民税の給与支払報告書等が提出できるようになったことも挙げられます。
 特に全国各地に事業所を置く中堅・大企業にとっては、実施団体が限られていることが最大のネックとなり、これまで地方税の電子申告を使いたくても使えない状態が続いていました。しかし、実施団体の拡大で、中堅・大企業にとっても給与支払報告書の提出など利用メリットが高まることになります。また、都道府県税や国税だけ電子申告するのはかえって手間がかかると敬遠していた法人でも、これを機に国税・地方税の電子申告を始めようという動きが活発となることも予想されます。


 さて、このように200を超える市区町村が電子申告を開始するようになると、納税者からすべての市区町村において「電子申告」の早期実現を求める声が、ますます高まるものと思われます。
 また、市区町村にとっても、利用率が伸びることで費用対効果の面でもメリットが見えてくるようになるのではないでしょうか。さらに現在、国税庁と総務省の間で、e─Tax(国税電子申告・納税システム)の申告データを、エルタックスを通じて都道府県や市区町村へ配信することが前向きに協議されており、この動向も注目されます。
 地方税の電子化は、より多くの市区町村が参加するほど、利用者・市区町村ともにメリットが高まっていくものです。まずは公的年金の特別徴収からエルタックス利用を開始するという1000団体はもちろん、その他の団体においても、できるだけ早い「地方税の電子申告」の導入が望まれます。