電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【連載】

地方税ポータルシステム(以下、エルタックス)を運営する社団法人地方税電子化協議会(以下、協議会)では、市区町村の導入促進を20年度事業の最重要課題の一つと位置づけています。そこで今回は、市区町村にエルタックスを導入していただくためのインセンティブなどについてご紹介いたします。

 多くの市区町村が電子申告の意義を感じながらも、エルタックスをなかなか導入できない理由の一つに「費用負担が大きい」ことを挙げています。
 市区町村がエルタックスを導入し、運用するためには「協議会へ支払う費用」と「民間業者へ支払う費用」があり、前者については、基本的に事務運営費である「会費」とエルタックスのシステム運用経費である「運用関係費負担金」に分かれます。
 市区町村加入促進を図るべく協議の結果、本年3月の理事会で次の二つが承認されました。

図表a

平成20年度、21年度の運用関係費負担金を免除

 第一に、「平成20年4月1日現在で市町村(指定都市を除く)及び特別区が平成20年度から平成21年度までの間に運用を開始する場合について、運用開始年度に応じて、運用関係費負担金を免除する」ことが決定しました。
 これは平成20年度にエルタックスの運用を開始する場合、平成20年度および21年度の運用関係費負担金を全額免除するものです。また平成21年度の運用開始の場合は、21年度分を全額および22年度分の半額が免除されます。
 この運用関係費負担金は、当該市区町村の人口と税収で決まります。例えば、人口30万人、税収400億円の団体の場合、年間約750万円(平成20年3月時点で算出)の負担額となります。このため平成20年4月に運用を開始すれば2年度分の約1500万円が、平成21年4月に運用を開始すれば約1100万円が免除される計算になります。

図表b

平成21年度以降は半分以下に減額も

 第二に、「平成20年度における運用関係費負担金の総額等をもとに、全市区町村が加入し運用したと仮定して算出して得られた各市区町村の金額を当該市区町村の負担額とする」ことが決定しました。
 現在の運用関係費負担金は、ある団体が加入する時点でエルタックスを運用する団体の「人口」「税収」それぞれの合計を分母として算出しています。したがって、全市区町村がエルタックスの運用を開始したと仮定すると分母が大きくなり、結果、一団体あたりの費用負担は小さくなります。
 これを前述の事例で見ると、約750万円が300万円程度になると想定しています。
 この新しい算出方法は平成21年度からの適用ですが、平成20年度導入団体は前述したインセンティブが適用されるため、全額免除となります。
 今年3月末における法人2税と法人市町村民税のエルタックス利用率は、8%を超え、なかには10%を超えた団体もあります。このように利用率が着実に上がっていることに加え、今年1月からは給与支払報告書も始まったことで、全市区町村での導入を求める利用者の声も一段と強まってきたように感じます。
 こうした状況の中、今回の取り組みが、市区町村にとって導入を決断するトリガーとなることを期待しています。

まずは協議会へ申込みを

 では、実際に市区町村がエルタックスの運用を開始するためには、いつまでに何をしなければならないのでしょうか。運用開始にあたっては、事前に接続試験や研修等が必要です。そのため、LGWAN─ASP方式でシステム業者が決定している場合でも、5か月前までには協議会への入会申し込みが必要となります。今年度のエルタックス導入接続時期は、4月と9月、12月が予定されています。仮に12月に稼働する場合、7月までに協議会へ入会申し込みを行っていただきます。
 ちなみに来年度のエルタックス導入接続時期は、4月、10月、12月を予定しています。

 さて、最後に市区町村の加入状況についてですが、給与支払報告書の開始に合わせ、秋田県秋田市と和歌山県田辺市がLGWAN─ASP方式でエルタックスを導入し、注目を集めたのは記憶に新しいところです。
 今年4月には、茨城県鹿嶋市が新たに参加し、今年12月よりLGWAN─ASP方式でエルタックスを導入する予定です。そのほかにも、十数団体から12月稼働について問い合わせをいただいています。
 これは21年度に予定される「公的年金からの個人住民税の特別徴収」制度導入を契機として、全市区町村が加入に向けて動き出す兆しなのではないでしょうか。