電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【連載】

タイトル

 10月の公的年金定期支払時より、いよいよ個人住民税の公的年金からの特別徴収(以下、「年金特徴」)が始まりました。年金特徴に関しては、これまでにも制度面を中心に説明してきたことから、今回は、経由機関として運用初年度における情報交換の状況と、明らかになった今後の課題などについて述べていきます。

 社団法人地方税電子化協議会は、平成15年に任意団体として発足し、加入団体による共同運営を続けてきました。そうした協議会が、このたび年金特徴という限定された範囲ですが、「経由機関」として法律でその役割を位置づけられたことは、一つのエポックとなるものです。
 また、エルタックスを通じて市町村と年金保険者(社会保険庁など)との情報交換が行われるようになったのを機に、会員数も73団体から一気に1,000団体を突破するまでに拡大しました。会員数の急激な増加は、地方税電子化のインフラ整備にも大きな影響を与えたといえ、今後はこのインフラを活用してもらうよう全国の市町村に働きかけ、いかにして電子申告の実施団体を増やすかが協議会の課題と考えます。

情報交換の状況

 年金受給者の個人住民税は、これまで課税庁である市町村が前年の所得などから6月までにその年の住民税額を決定して納税通知書を発付し、それを受け取った納税義務者が金融機関や役所へ出向いて納税していました。しかし、今年10月からは、支給される年金から天引きされる方法に変更されます。
 実際に住民税の徴収が始まるのは10月からですが、年金からの徴収額を決定するにあたって、市町村と年金保険者との間では、すでに今年1月より課税や徴収に必要な情報を相互に交換する作業が始まっていました。
 こうした両者の情報を仲介するのが経由機関である協議会の役割になりますが、市町村と年金保険者では運用しているシステムが異なる上に、市町村数が約1,800団体と多いため、円滑なデータ連携が最も神経を使うところとなりました。もしそれぞれの形式でデータが作成されてしまえば、互いにシステムへデータを取り込めず処理不能となってしまいます。

 そこで、協議会ではファイルレイアウト仕様書を公開し、異なるシステム同士でも、統一したデータ形式で円滑に情報交換が行えるようにしました。
 さて年金特徴では、まず5月25日までに年金保険者から特別徴収の対象者情報が市町村へ送られることとされています。今年の例で見ると、5月13日に、経由機関(協議会)へ年金保険者からカートリッジテープで情報が提出され、経由機関で市町村ごとに振り分け処理を行った後、5月22日に市区町村の電子的受付窓口である地方税ポータルシステムへ情報を登録しました。
 このため、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(第3条第3項)により、5月22日をもって年金保険者からの通知が市町村に到達したと見なされます。しかし、実際に市町村がその情報を基幹システムへ取り込めるようになるのは、審査端末に配信されて以降ということになります。
 その後、市町村はこの対象者情報のなかから「年金特徴をすべき者」と「税額」を決定し、7月31日までに年金保険者へ通知するため、経由機関には7月16日~21日の間にデータを送信します。これで、来年4月までの年金特徴をすべき者と税額が決定し、以後、死亡や転出などの特別徴収を中止すべき事由が発生するごとに、毎月、市町村から年金保険者へ特別徴収の停止依頼を送ることとなります。

明らかとなった二つの課題

 このように市町村と年金保険者との間で情報交換を重ねるなかで、課題点も明らかになってきました。
 一つ目の課題は、ファイルレイアウトの仕様書を定めているとはいえ、少なからずデータ作成に齟齬があり、エラーが発生していることです。また二つ目は、当初から危惧されていたことではありますが、情報交換のスケジュールが非常にタイトなため、市町村の事務に負担をかけているということです。
 このうち、データエラーの発生については、市町村において、仕様書に基づくデータチェックを徹底するなど、通知を送るにあたって細心の注意を払うことが求められます。
 一方、情報交換スケジュールについては、経由機関での処理時間の短縮や年金保険者との調整が課題となります。いずれも膨大なデータを処理するシステムであり、その調整は簡単ではないと思われますが、協議会としても総務省や年金保険者と粘り強く交渉を行い、来年度のスケジュール改善に努めたいと考えています。