電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【連載】

タイトル

 昨年12月より239団体が新たに加わり、全国305の都道府県・市区町村で電子申告の受付が可能となりました。今年4月にはさらに45団体程度が参加する予定です。実施団体拡大に伴い、地方税ポータルシステム(以下、エルタックス)の利用件数も急速な伸びを見せ、1月5日現在累計で100万件を突破しました。申告の大半を占めるのが法人事業税と法人住民税です。そこで今回は、5月に繁忙期を迎える法人住民税の電子申告について説明します。

図表

 法人住民税は、法人都道府県民税と法人市町村民税に大別することができ、法人は基本的に事業年度終了日から2か月以内に確定申告を行います。このため、法人は少なくとも当該都道府県と市町村の2か所に法人住民税を申告する必要があります(特別区の場合、東京都に市町村民税相当分も含めて申告)。
 特に、事業所等が複数の都道府県・市町村に存在する中堅・大企業の場合は、申告先も多く、これに伴う作業・コストは相当なものとなります。そのため、1日も早い地方税電子申告のスタートが待ち望まれています。
 しかし、これまではサービス実施団体が一部に限られていたため、電子申告と紙による申告が混在することとなり却って手間がかかることから、多くの法人が電子申告を利用できずにいました。

申告者と市町村のメリット

 法人にとって電子申告のメリットは、次のようなものが挙げられます。

◎複数の提出先(都道府県・市町村)に同一の操作で提出でき、事務の効率化が図れる。

◎窓口持参の場合に比べ、交通費・人件費の削減ができる。

◎郵送の場合に比べ、郵送料・封筒代、宛名書き・封緘等の人件費の削減ができる。

 ある法人では「地方税の電子申告が可能になれば、申告に伴う作業は従来の4分の1程度になる」と語っています。また、費用についても、〈申告先が300か所、業務日数が4~5日〉の法人の例で、郵送代・印刷代、人件費を合わせて年間50万円程度削減できるという試算もあります。
 一方、市町村のメリットには次のようなものがあります。

◎パンチコストの軽減

◎パンチミス等エラー対応業務の軽減

◎申告書等の印刷費用軽減

◎申告書等保管スペースの縮小

◎窓口混雑の緩和

◎郵送提出申告書対応業務の軽減

写真

 市町村にとっても、電子申告によって削減されるコストや人員を他業務に振り向けることができるのは、大きなメリットになると思います。実際、すでに電子申告を実施している団体では、以前に比べ3月決算法人の申告が集中する時期に窓口の混雑が緩和され、郵送での申告も減っているそうです。
 ところで、電子申告の実施団体ではエルタックスの端末に届いた申告データを、オンライン、または電子媒体(MO、CD等)を介して基幹税務システムへ取り込んでいます。
 しかし、なかには利用件数の少ない税目については、基幹税務システムの改修をせずに、電子申告されたデータを一度紙に出力して、窓口に提出されたものと同じ様にパンチ処理している団体もあります。過渡的な事象としてこうした無駄が発生しているのも事実ですが、今後、電子申告の利用率が増えるとともに無駄も解消され、パンチコストなど一層のコスト軽減が期待できることになります。

利用率の向上のために

 さて、エルタックスの利用率を見ると、全国平均で16.26%(法人2税および法人市町村民税/平成21年2月2日現在)となり、なかには29%を超えている団体もあります。
 こうした利用率が高い団体の多くは、自ら地元税理士会や法人会などへ出向き、電子申告利用のお願いなどをしているようです。もちろん協議会としても広報活動を行いますが、今後は市区町村自らが直接申告者に対して行動を起こすことも、利用率を向上させるカギになるのではないでしょうか。