電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【連載】

タイトル

 社団法人地方税電子化協議会は、平成15年8月に47都道府県・13政令指定都市により任意団体として設立されて以来、地方税の電子化に向け着実な歩みと発展を続けてきました。そして、来年度以降は組織や事業活動をさらに進化させ、新たな取り組みを展開していく計画です。今回は、その取り組みの一つとして、税務行政に画期的な変化をもたらす所得税確定申告書データ送信、いわゆる「国税連携」について現時点の検討状況を説明します。

現行の問題点

 現行の課税事務を見ると職員が税務署へ出向いて、納税者から各税務署に提出された確定申告書を分離・複写し、パンチ入力の外部委託、あるいは庁内での入力、その後のデータ確認を経て、当初課税や他団体への資料転送などを行っています。
 この場合、
(1)確定申告書の分離・複写閲覧にかかる手間・人件費
(2)確定申告書のパンチ入力(データ化)に伴うコスト
(3)パンチ入力の外部委託に伴う情報管理のあり方
(4)紙媒体の保管に伴うスペースとコスト
など、さまざまな問題点が指摘されおり、適切な対処が急務になっていました。

 こうしたなか、平成20年1月から国税庁、総務省および協議会の三者において検討を始めたのが、現行のアナグロ的な事務処理を根本的に改革し、セキュリテイ対策を十全に講じた新たな仕組みを構築しようという「国税連携」です。
 現時点での調整状況のイメージを示したのが次ページ図で、これについて若干説明します。
 まず、「国税電子申告・納税システム(e─Tax)」は、送信されたデータそのものが原本として国税庁に集約されます。そのため国税庁では、このデータに納税地住所に対応したコードを付与し、エルタックスを通じて各地方公共団体に送信するシステムの構築を検討しているところです。
 これにより、エルタックス側では、国税庁から送信されたデータの保持はせず、一切の加除修正も行わないことになっており、あくまでも送信されたデータの「件数確認」と「通信エラーチェック」に特化することになります。
 一方、紙で提出された確定申告書は、「国税総合管理システム(KSK)」により、第1表、第3表から第5表までが電子データとして集約されることになります。ただし、第2表と添付資料についてはデータ化の予定がなく、今後も複写・閲覧が必要になるものと考えられます。

 また、KSKの原本は紙そのものであるため、第1表から第5表までの申告書はイメージデータとして地方公共団体に送信されることとしています。
 この国税連携については、まだ細部の調整項目が残っていますが、国税庁の全面的な支援・協力を得ながら、平成23年1月の本格実施をめどに精力的に取り組んでいく予定です。

便利な機能が続々登場

 さて、エルタックスでは国税連携の実施にあたって、地方公共団体の業務運営に不可欠と思われる、以下の三つの機能を開発する計画です。

1.団体間回送機能

 これまで、課税権のある団体へ郵送されていた課税資料などを、エルタックスを介してデータ送信できる機能を開発します。これにより、郵送料の縮減・回送期間の大幅な短縮が見込まれます。

2.インターフェース自動変換機能

 国税データを地方公共団体の基幹税務システムへ取り込むためには、個々のレイアウト形式に合わせる必要があります。これを各団体がそれぞれ開発するとコストも膨大となることから、審査システム内で団体任意のレイアウトへ変換するツールの開発を予定しています。

3.印刷・画面表示機能

 賦課決定における内容審査や、申告者へ説明する際など、確定申告書等の印刷や画面表示が必要となることから、審査システムへ、この機能を持たせる予定です。

e─Tax普及にも注力を

 さて、国税連携が実現すると、地方公共団体にとっても経費の節減やリスクの解消など計り知れない効果が生まれると考えられます。そのため、協議会としても、今後も関係機関と協力しながら実現に向けて全力を傾けてまいります。
 加えて、国税の電子申告率が上がれば必然的にKSKのデータは少なくなり、地方公共団体のメリットもさらに高まることになります。そのため、地方公共団体としても、e─Taxの普及促進へ積極的に取り組むべきだといえるでしょう。