電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【特集】

タイトル

──平成20年4月にシステムをリニューアルされましたが、施設予約のオンラインサービスはいつ頃から提供されているのでしょうか。また、リニューアルの狙いを教えてください。
齋藤
 オンラインによる施設予約サービスは、比較的早い段階から開始しましたね。そろそろ10年ぐらいになると思います。その意味では、住民からも広く認知されており、当たり前に使われている行政サービスの一つといえるでしょう。現在は、市民センターや体育施設など17施設を対象に、パソコンや携帯電話から24時間365日の予約受付が可能となっています。実は今回のリニューアルにあたっては、最初から「ASP方式」を採用しようと決めていました。その理由は、(1)施設予約サービスの運用に係る手間とコストを軽減する、(2)担当課が運用しやすいシステムを選択する──の二点です。このため調達方法もひと工夫しました。一般に情報システムの調達は情報室主導で行うことが多いと思いますが、今回、我々情報室はアドバイスをしただけで、施設の担当者が自分たちでシステムを選んだんですよ。

施設の担当者がシステムを選ぶ

──システムの調達方法としては、珍しいケースですね。
齋藤
 そうですね。今後のメンテナンスなどを含め、全体の業務効率を上げることが狙いでした。以前のシステムは自前構築型で、情報室がサーバを管理していたことから、運用・保守にかなりの手間とコストがかかっていました。例えば、休日の設定を行うにも情報室にあるサーバでなければ対応できなかったため、担当課から修正依頼の連絡を受けて、情報室が設定し、担当課へ確認してもらう…といったやりとりが発生し、お互いに負荷がかかっていたんです。しかし、一番状況を分かっている施設の担当者が直接メンテナンスできるようになれば、もっと柔軟に対応できますよね。また情報室では、庁内の情報システム全般の管理・運用を行っていますが、この部分をなるべく効率化して、「情報化計画」の策定などへ人的資源を集中させたいという思惑もありました。担当課でできることは作業分担してもらう…。ならば担当者自身にシステムを選んでもらおうと考えたわけです。この点、ASP方式であればハード構成を心配する必要がなく、サーバ側での運用・管理作業もいらないため、比較的容易に担当課で扱うことができますからね。現在では、休館日などの設定は各施設が行っており、以前発生していたようなやりとりもほとんど解消されました。
──「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」を選択された理由は?
齋藤
 予約台帳照会の画面の見やすさと操作性が選択の決め手となったようですね。例えば、電話予約を受けた場合でも、空き状況を確認し、チェックボックスを選ぶだけで予約登録がスムーズにできることが評価されたと聞いています。
──システムの切り替えにあたり、苦労した点などはありませんでしたか。
齋藤
 正直いって、あまり大変だったという印象はありません。施設ごとに、「予約申込まで可能」「空き状況の照会のみ可能」など個別に設定することが可能ですし、システムの切り替えで従来の運用方法を大きく変える必要もありませんでした。また、事前に「独自にカスタマイズされたシステムではなく、すでに導入実績のあるパッケージをLGWANを介して利用する」というASP方式の特徴を周知徹底しておいたこともスムーズに導入できた要因だと思います。それでも、稼働当初は画面の違いなどから多少の戸惑いはあったようですが、操作が分からない時は画面上の「虎の巻」から確認できますし、それでも分からなければTKCのヘルプデスクへ連絡すればいいという安心感もあります。

スリムで効率的な行政へ

──オンラインサービスの利用状況はいかがですか。
齋藤
 銚子市では、スポーツ施設よりも文化施設の方が利用率が高いんですよ。例えば、「親子パソコン教室」など講座申込ですね。利用状況を見ると、銚子市市民センターの場合、昨年四月から平成21年1月末までに、約3,000件のオンライン申込がありました。これは申込件数全体の約46%になります。その他、コミュニティセンターや青少年会館などでもオンライン利用が徐々に増えてきています。ただ、年配者の方は未だ窓口や電話での予約が多いですね。この点は広報誌で継続してアピールするなど、今後も利用促進に努めたいと思います。
──なるほど。最後に今後の情報化に関する計画について教えてください。
齋藤
 平成21年8月から、千葉県市町村が共同運用している電子申請サービスを開始する予定で、現在、どんなサービスを提供するか、他市の事例も参考にしながら検討しているところです。また、“次世代”の行政サービスを考える上では、そろそろ情報システム全体を見直す時期を迎えたな…と感じています。これまでは、担当課が個別に業務システムを整備してきましたが、行政事務の最適化を図るためには、円滑なシステム間連携がますます重要となりますからね。また財政難のなか、情報化投資全体の最適化も喫緊の課題です。今後の業務プロセスの変革などとも考え合わせながら、将来の行政サービスの基盤となる新たな情報システム構築へじっくり取り組む方針です。その意味では、今回のASPサービスの導入は、まさにその第一歩といえるでしょう。まだ、道半ばですが、スリムで効率的な“行政運営”の実現に向けて、これからも一歩ずつ前進していきたいと思います。