電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【特集】

タイトル

 このたびの東日本大震災により被災されました皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
 今回の震災では、当社のお客さま(地方公共団体、会計事務所とその関与先である中小企業、中堅・大企業)も数多く被災され、情報システムが使えない事態に見舞われました。いまや、官民を問わず事業活動の多くをICTに依存するなかで、情報システムが使えず事業停止の事態に陥ることは、重要な経営リスクとなります。なかでも、地域住民の生命・身体の安全確保や被災者支援を責務とする市区町村は、民間にも増して業務の維持・継続が優先されます。
 当社では震災直後に約100団体の被害状況を確認し、うち業務継続に支障を来す恐れのある約30団体に対して緊急支援を行いました。そのなかで最も甚大な被害を受けていたのが、当社アライアンスパートナー・エクナ株式会社様のお客さまである岩手県大槌町様です。
 当社は、昭和40年代より、日々の窓口業務は庁内のシステムで行い、大量一括処理はTKCのホストコンピュータが分担する「分散処理方式」という独自のアウトソーシングサービスを展開しています。これは、市区町村が必要に応じて情報資源を柔軟に利用できる環境を提供しようという考えに基づくものです。大槌町様の場合も、3月1日時点のデータがTKCに保管されていました。
 庁舎被災の第一報を受け、当社では保管していたデータから「リスト(帳票)」を印刷し、3月14日には「住民基本情報(CSV/PDF形式)」とともにご提供しました。並行してエクナ株式会社様と連携し、システムも復旧。なお、その後発見されたサーバから震災直前のデータを復元でき、大槌町様では4月下旬より本来システムの運用を再開されています。
 今回、業務継続の観点からその特長が活かされた「分散処理」は来年春、クラウド型サービスとして生まれ変わります。

最悪の事態に備える

 さて、この震災はTKCインターネット・サービスセンター(TISC)にとっても、クラウドサービスの拠点としての真価を問われる機会となりました。
 記録によれば、地震の揺れにより建物は南西方向へ最大16センチ引っ張られたことが判明していますが、TISCは完全免震構造のためサーバ室など建物内部への影響は皆無で、各種サービスは震災後も停止することなく稼働し続けています。
 また、震災はクラウドサービスへの課題も浮き彫りにしました。TKCでは、現在この解決へ取り組んでいるところです。その一つが、TISCの遠隔操作です。福島原発事故の発生で、TISCから社員を待避させざるをえないという“最悪の事態”を想定し、3月末にTKC東京統合情報センターからTISCを遠隔操作するテストを行い、これに成功しました。さらに、万一に備えたバックアップ体制として“第2・TISC”の検討も開始しています。
 今後については、税の減免など震災復興に向けた各種施策の実施に伴い、今後発生する基幹システム等の改修について、当社では無償で対応することを決定しました(詳細は、最寄りの営業課までお問い合わせください)。
 震災を機に、自治体クラウドは急速に普及すると思われます。TKCでは他社に先駆けてクラウドへ取り組んできた企業の“使命”として、今後もイノベーションと智見により「TKCクラウドサービス」の一層の強化拡充に努めます。