電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【特集】

市区町村として興味があるのは、実際に地方税の電子申告へ取り組んだ担当者の生の声であろう。実際、いま秋田市と田辺市には全国から問い合わせが殺到しているという。
そこで今号では、秋田市財政部市民税課の佐々木吉丸課長へ、サービスを開始した理由や今後の計画についてご寄稿いただく。

地方税における申告等の手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムである「地方税ポータルシステム(以下、エルタックス)」は、総務省、全国知事会、全国市長会、全国町村会および日本税理士会連合会の協力の下、都道府県・政令市が中心となって、平成18年1月から全国での運用を開始しています。
 秋田市では、政府税制調査会特別委員でもある佐竹敬久市長が、エルタックスを運営する社団法人地方税電子化協議会(以下、電子化協議会)の副会長を務めるとともに、事務局へ職員を派遣するなど、設立当初からその活動へ関わってきました。しかし、①サービス導入のための初期投資が多大である、②対象税目は都道府県税が中心である──などの理由から、これまでサービス開始へ踏み切れずにいました。
 しかしながら、①平成20年1月から市町村の基幹税目である個人住民税に係る給与支払報告書等の受付が開始される、②自前のサーバ設置が不要で市町村にとって経費的に負担の少ないASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)方式のサービスが提供される──ことなどを契機に運用開始を決断。平成20年1月15日より、和歌山県田辺市とともに、全国で初めてLGWAN─ASP方式を採用した「地方税の電子申告」のサービスをスタートしました。
 そして、スタートしてからわずか半月で、500を超える事業者から給与支払報告書が電子申告されるなど、電子政府実現に向けた新しいサービスは順調な滑り出しを見せています。

利用促進へ事前PRにも注力

 本市では、電子化協議会のエルタックス第2次システム開発スケジュールに遅れることなく電子申告のサービスを開始するため、平成19年5月、取扱税目ごとに関係する職員を集め、課内に「導入検討班」を設置しました。班内には契約法令等関係と加入促進関係の各担当を設け、通常業務を行いながら、導入へ向けたスケジュールを立案し、各担当の役割分担を決めるなど、スムーズな導入が可能となるように努めました。
 また、システムの導入に関しては、電子化協議会の動向を注視しながら、職員の習熟に必要と思われる審査クライアントの導入等を前倒しで実施するなどの事前準備を進めたため、トラブルなく運用を開始することができました。
 さらに、これら準備作業と併行して力を注いだ点は、電子申告の利用促進活動です。具体的には、実際の申告業務を担う税理士への周知を図るために、税理士会に対する協力依頼などの活動を展開しました。これとともに、本市へ給与支払報告書や法人市民税の申告書を提出している各事業所に対しても、機会を捉えて独自作成したPR用のパンフレットを送付して周知を図ってきました。
 こうした広報活動については、今後も引き続き、報道機関などあらゆる媒体を活用して、納税者や税理士などの関係者へエルタックスの利用率向上を目指して、その利用促進を広くPRしていく予定です。

電子申告のメリットとは

 電子申告のサービス導入のメリットは、何より納税者の利便性向上です。
 納税者が自宅やオフィスに居ながらにしてインターネットを介して手続きを行えること、さらには複数の地方公共団体へ申告手続きを行う場合にも、利用者窓口であるエルタックスへデータを一括送信するだけで、提出先である全国の各地方公共団体へ送信ができる点です。
 これはまた、一方の情報の受け手である地方公共団体にとっても、事務の共同化という大きなメリットを生み、税務事務の効率化と質の向上に貢献することになるものと考えています。
 さらに、電子申告によるペーパーレス化も大きなメリットです。申告データを基幹システムへ直接取り込むことによる入力事務の軽減や、データ入力のための外部委託経費の節減など、税務事務の効率化が見込まれます。


エルタックスへ期待すること

 電子申告の最大の目的である「納税者の利便性向上」を実現するためには、すべての市区町村においてエルタックスが使えることが理想ですが、政令市を除けば現状では本市を含め3市にとどまっています。電子化協議会における市区町村が導入しやすい制度運用の改善とともに、都道府県のリーダーシップの下、市区町村でのサービス導入に向けた一層の努力が望まれるところです。

 また、国税では現在、電子申告(イータックス)の普及を図るために種々の対策を講じています。国税と地方税の電子申告には相関関係があり、イータックスの普及はエルタックスにとっても電子申告のメリットを納税者に実感していただく機会であることから、相互の連携・協力は電子申告の普及を進める上で一層重要になるものと考えています。
 このような視点から、本市を含む秋田県内25の全市町村は平成18年8月、税務行政の効率化と共同化を目指して秋田県市町村税務協議会(以下、市町村税務協議会)を設立しました。その活動の一環として、平成20年1月には、市町村税務協議会として電子化協議会のオブザーバー会員にも加入しています。これを契機に、秋田市としても電子申告のサービスの導入経験を活かして、地方税電子化に関する情報の共有と、他の市町村への普及促進に尽力していきたいと考えています。
 また、全国市長会などの要望を受けて、平成20年度地方税制改正(案/今国会提出済み)では、平成21年度より個人住民税の公的年金からの特別徴収制度がスタートすることとなっております。これにより、全国の市区町村へ公的年金等支払報告書に関するデータを配信する際の経由機関として電子化協議会が位置づけられるなど、エルタックスの果たす役割は、今後ますます拡大することが予想されます。
 全国の市区町村において、このような社会情勢の変化へ的確に対応し、地方税のIT化による電子自治体の構築、ならびに地方税務行政全般の効率化が一層促進されることを願っております。

 秋田市様は、地方都市での電子申告の早期実施を考えられ、平成19年10月に「TKC地方税電子申告受付サービス」の採用を決定し、平成20年1月に本稼動しました。
 稼働に際しては、秋田市様とTKCの窓口をSEに一本化し、タイムリーな対応を心がけました。総合運転試験では予想以上の対応事項がありましたが、この体制により迅速な対応が行え、無事本稼働を迎えることができました。
 弊社は、TKCのアライアンスパートナーとして、平成18年5月より秋田市様にて稼働した「TKC行政ASP/公共施設・案内予約システム」をサポートしてまいりました。
 今回、地方税の電子申告のサポートを通じて得たノウハウをもとに、地方税電子化協議会のオブザーバー会員となった秋田県内市町村に対しても、適宜な情報を継続的に提供し、お客様にご満足いただける「導入時のご支援」および「導入後のサポート」を実施してまいりたいと思っております。