電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【特集】

寺原

──施設予約サービスをスタートしたきっかけを教えてください。
小平
 10年ほど前、近隣市においてオンラインによる施設予約サービスが開始されたことを機に、東久留米市でも同様のサービスに対する市民ニーズが徐々に高まってきました。この頃は、ちょうどネットワーク社会の幕開けともいえる時代でもありましたね。そうしたこともあり、平成13年に『東久留米市情報化推進計画』を策定し、インターネットを活用した市民サービスの充実に取り組んできました。そうした取り組みの一環として、平成18年12月より、施設予約手続の簡素化を目的とする「施設予約サービス」を開始したものです。現在、23か所・95施設の予約が可能で利用者登録者数は約3000人、1か月に概ね3000~4000件の利用があります。

コストミニマムにサービスを実現

──「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」を採用した理由は何だったのでしょうか。
小平
 理由の一つは、ASP方式によるトータルコストの抑制が可能な点でした。実は、情報化推進計画を策定する前から、施設予約サービスを検討していましたが、当時はまだ自庁構築型が前提だったため経費の面で折り合いがつかず、サービス開始を見送ったという経緯があります。その後、インターネットなど情報通信技術が飛躍的に進歩し、ASP方式の登場により、構築から運用にかかるコストを大幅に抑えられるようになったことで、サービスを実現することができました。また、もう一つが、十分なセキュリティを確保できるという点です。ASP方式による施設予約システムは多くのベンダーから提供されていますが、どの製品がセキュリティ面で優れているのか分かりにくいですよね。その点、「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」は、LGWAN─ASPサービス接続資格審査合格という“お墨付き”を得ています。また、運用・管理の面でもLGWANを活用することで、万全なセキュリティが確保できるという点を評価しました。現在、公民館やわくわく健康プラザなど市の直轄施設では、LGWANを介してシステムを利用しています。
──業務面でシステム化の効果は?
小平
 それまで施設ごとに異なっていた予約台帳を、システムへ一本化し、また料金の収納処理や予約の抽選処理など、業務のほとんどをシステム処理に切り替えたことで、内部事務をかなり効率化することができました。
──市民サービスの点ではいかがですか。
小平
 当初は、操作方法の問い合わせが多く寄せられましたが、サービス開始から1年以上経ち、利用者の方もだいぶ慣れてきたようです。また、従来は土日の施設利用など抽選が必要な場合、利用者の方は平日の抽選会に参加する必要がありましたが、システム導入後は24時間いつでもパソコンや携帯電話から申し込めるようになり、確実に利便性が向上したと思います。なかには、施設予約サービスを利用するために、パソコンを購入して操作を習得したという高齢者の方もいらっしゃるとか・・・。我々のサービスがきっかけとなって、市民に新しい生活習慣が生まれたということであれば、こんなにうれしいことはないですね。

ネット予約が9割超の施設も

──現在の利用状況はいかがですか。
小平
 施設によって利用率に違いはありますが、ある文化施設では年齢を問わず90%以上インターネットから予約されています。また、携帯電話からの利用も多いですね。窓口で操作方法を聞かれることもあります。現状では、全体的に若い方の利用が多く、高齢者の方の利用は少ないといえます。ただ、5年後、10年後を考えると、その頃の高齢者世代の多くは仕事でパソコンを使っていた方のため、今後、高齢者のオンライン利用も確実に増えていくでしょう。そうした点からも、利用率に関してほとんど心配はしていません。市が所管するほぼ3分の2にあたる施設の空き状況も確認できますので、施設予約サービスを便利に使ってどんどん施設を利用していただきたいですね。
──インターネットによる住民サービスが、市民生活に着実に定着してきましたね。
小平
 そうですね。ただ、大切なのは、施設予約サービスを普及させることよりも、より多くの市民に施設を利用してもらうことだと考えています。そのためには、情報提供の一層の充実に加え、予約の手間など使い勝手の改善に取り組んでいきたいと思います。例えば、いま施設予約サービスでは事前に利用料金を支払う必要があります。これを予約から支払いまで、すべてインターネット上で完結できれば、市民と職員の双方にメリットがありますよね。現在、マルチペイメントを利用した電子納税を検討していますが、施設予約についても電子納付を導入する効果は高いと思います。
──今後の計画を教えて下さい。
小平
 利用者の利便性向上という点では、講座の予約や駐輪場の申し込みなど、オンラインですべての手続が完了するものを順次拡大する計画です。さらに、地方税の電子申告についても検討中です。加えて、今後はインターネットを利用した情報提供の面に力を入れていきます。例えば、子育てという点をみてもさまざまな公的助成制度があり、それを知らない方が多いのも現状です。また、即時性が求められる防災・防犯情報についてもさらに充実させなければと考えています。まだまだ道半ばですが、「水と緑とふれあいのまち“東久留米”」の実現へ向けて、市民と行政が協力しながら取り組んでいきたいですね。
*所属・役職等は取材当時のものです。