電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

──吉川市の概要について教えてください。
杉村
 吉川市は、埼玉県の南東部に位置しています。東は江戸川をはさんで千葉県と接し、西は中川をはさんで草加市・越谷市と隣接しています。両側を川ではさまれていることから「川のまち」として有名で、古くは平安期から早稲米の産地として栄えました。また、近世には中川の舟運を利用した東国物資の集積地として繁栄するなど、長い歴史と伝統を有したまちです。

いつでも・どこからでも4税納付へ

──吉川市では、平成18年5月より軽自動車税をはじめ、住民税・固定資産税・国民健康保険税をコンビニエンスストアでも納付できるサービスを開始されました。
杉村
 埼玉県内では、平成18年4月より、5市2町がコンビニエンスストアで税金が納付できるサービスを開始しました。それを機に、吉川市でもサービス導入を検討した結果、市民ニーズが高く、利便性も高まると判断し、平成18年度から4税一斉にコンビニ納税を始めました。実は、吉川市では以前から市内3か所の市民サービスセンターにおいて、土日も朝8時半から午後5時まで、税金の納付や住民票の発行といった窓口サービスを行ってきました。しかし、それだけではさまざまな生活スタイルを持つ市民のニーズに十分応えているとはいえませんでした。この点、コンビニなら24時間いつでも納付が可能で、店舗数も市内が16か所、県内では約2000か所、全国ならば4万か所の、どこのコンビニからでも税金を納付することができます。これにより、納付機会を格段に増やすことができました。

──いつでもどこからでも税を納付できるのは、納税者にとって魅力的 ですね。
杉村
 当初、サービスの利用件数は1年間で概ね9000件と見込んでいたのですが、実際はそれを大きく上回る2万5000件の利用がありました。今年度も利用件数は大幅に伸びており、3月末までに3万5000件へ達すると予測しています。利用件数が増える分、収納代行会社へ支払う手数料もかかりますが(笑)、これだけ利用されるのは納税者にも便利さを実感してもらえていることであり、我々としても手ごたえを感じています。全国の自治体にとって、税業務の目下最大の課題は「収納率の向上」ですが、「コンビニ収納」はそうした活動の一環であるとともに、納税者の利便性向上というもう一つの重要な狙いもありますからね。現在、4種類の税目のなかで一番利用が多いのは軽自動車税です。この軽自動車税の収納率を見ると、昨年と比較して僅かながら上昇しています。その要因については今後詳細な分析が必要ですが、コンビニ納税が何らかの影響を与えている可能性はありそうです。

利用件数は当初見込みの1.5倍

──サービスを導入するにあたっての準備、留意点について教えてください。
杉村
 税務課(当時)や国保年金課、庶務課など関連する部門が集まり「コンビニ収納準備委員会」を立ち上げ、1年ほどかけて作業スケジュールの立案や収納代行会社の選定など準備作業を行いました。また、「コンビニ収納」を開始するにあたって留意したのは、サービスを導入・運用するためにかかるコストをきちんと把握し、最小限となるよう進めることです。収納代行会社によって一件あたりの手数料が異なりますし、システム構築にかかる経費も大きな差が生じます。システム構築については、TKCはすでに県内市町村でも「コンビニ収納」を立ち上げた実績がありましたし、また、現在利用中の「TASK.NET税務情報システム」であれば、システムの設定や納付書のバーコード読み取りテストなどを行うことで対応できるため、準備作業に加えコスト面でも最小限に抑えられるのが魅力的でした。

──なるほど。最小のコストで最大の効果を狙うということですね。コンビニ納税の場合、期限内の納付率が高まる傾向があるようですが、その点はいかがですか。
杉村
 コンビニでは、期限を過ぎるとバーコードが読み取れず納付できなくなるため、納税者は自然と期限内に納付される傾向が高まるようです。また、業務面でのメリットは、納付情報を次の日には確認できるため、行き違いで督促状を送付するといったことが減少しました。いま地方財政は厳しい状況に直面し、収納率向上へ一層の努力が求められています。特に、今年度は、国の三位一体の改革による所得税から個人住民税への税源移譲や、定率減税の廃止により、個人住民税が引き上げられました。このことから、吉川市でも税の収納対策として催告の数を倍増し公平な納税を促すとともに、納付意識の低い滞納者に対しては、毅然とした態度で差し押さえなど法的な措置を講じていくことが重要だと考えています。一方で、納税相談の充実により滞納を極力防ぐことも大切です。実際に今年度は、個人住民税引き上げの影響で納税者からの相談件数は例年の3倍となっています。そこで少しでも納税者の負担感を軽くするため、個人事業者の皆さんへ年末調整の説明会等の機会を通じて特別徴収の案内なども実施していくことが重要だと考えています。その背景には、特別徴収の割合が多い自治体の方が、収納率が高いということもありますが、単に率を上げることだけを目的とするのではなく、「税の公平性」の点からも完全徴収を目指して、納税者や企業の理解を得る努力をしていくことが大切だと思っています。

──納税者に対する利便性向上という点では、最近、新しい動きも登場していますが、ご計画はいかがでしょうか。
杉村
 そうですね。クレジットカードでの納付や電子納税などについても、今後の状況を見ながら随時検討していきたいですね。しかしながら、厳しい財政事情のなか、納税者から預かった税金を1円たりともムダにできません。“市民の利便性”と“コスト”のバランスを考えながら、よりよいサービスは何かを考える必要があります。時代の変化に合わせて、納税のあり方はこれからも変わっていくでしょう。そういったなかでも、常に市民が便利だと思えるようなサービスを今後も展開していきたいですね。