電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

エルタックスへの接続団体が、1,321団体となった。だが、このうち電子申告を開始したのは301団体と、地方税の電子化はいまだ道半ばだ。電子申告はなぜ必要なのか? そのメリットは? 先進事例を交え、電子申告の効果を検証する。

──墨田区は、東京23区として初めて、個人住民税などの電子申告サービスを開始されました。

浮田 税務行政において、重要なのは「正確性」です。そうしたこともあって全国の地方公共団体では、古くから税務の電子化が進められてきました。一方、納税者側を見ると、いまやほとんどの企業が税金や給料の計算にコンピュータを使っています。納税者も行政も電子化されているのに、その間を“紙”でやりとりするのは、入力ミスによる課税誤りなどのリスクを生じさせ、お互いの作業面でも非効率といわざるを得ません。そのため、墨田区としてもいずれ電子申告へ取り組もうと情報収集や検討を行ってきました。それが、「公的年金からの個人住民税の特別徴収制度」の施行をきっかけにエルタックスへ参加することとなり、せっかくならばこの機にサービスできるものはスタートしようと、平成20年12月より給与支払報告書などの受付を開始しました。具体的作業に着手したのは7月とタイトなスケジュールのなか、システム整備と並行して情報セキュリティーポリシーの変更なども行いましたが、全庁的な協力もあって、特に混乱もなくサービスを開始することができました。

納税者からは感謝の声も

──利用状況はいかがですか。
阿部
 例えば、給与支払報告書では、我々の予想を上回る約2,500件が電子申告されました。給与支払報告書の提出件数全体(毎年17万件程度)からすれば、電子申告の利用割合はまだほんの一部ですが、それでもバックオフィス側の業務はかなり楽になったと感じています。通常、事業者から紙で提出された給与支払報告書は、〈パンチ入力→データチェック→エラー分出力→エラー分修正〉という過程を経て処理しますが、電子申告の場合、パンチ入力が不要です。また、審査システムの端末から、ボタン一つでデータチェックをかけることができ、仮に内容に誤りがあった場合は職権で訂正し、訂正点を納税者へ通知することが可能です。このため、基本的には正しいデータを基幹システムへ取り込むことができるので、基幹システム側でのエラー処理はほとんどなくなりましたね。今後、サービス実施団体が拡大するとともに電子申告の利用件数も確実に増えていくでしょうし、そうなれば、業務の効率性やコスト削減の効果も一段と高まるだろうと期待しています。

岡崎 また、納税者からの反応も上々ですね。通常であれば、徴税者である我々が納税者から誉められることはまずありませんが(笑)、電子申告については何人もの方から「よくぞやってくれた」と声をかけていただきました。特に、平成18年1月1日以降、給与支払報告義務者は、年の途中の退職者についても支払額が30万円を超える場合は給与支払報告書を提出しなければならず、経済界からも企業負担の軽減を強く要望されていましたからね。電子申告の利用者分析はまだこれからですが、提出された個人明細書は平均して1社あたり数枚程度ということから、ほとんどが中小企業の利用と想定されます。電子申告は企業の規模が大きいほどそのメリットが大きいはずで、今後は給与支払報告書を媒体で提出していただいている企業へ、こちらからエルタックスの利用を働きかけていきたいと考えています。

国税連携へ大きな期待

──今後、期待していること、あるいは計画していることは何でしょうか。
浮田
 やはり、期待しているということでは国税との連携です。例えば、いま墨田区では約7万枚の確定申告書が提出されていますが、この閲覧業務のために2~3か月間、アルバイトを含めて約20名が税務署へ出向いている状態で、また申告書の写しのパンチ入力は外部へ委託しています。当然、そのために膨大な手間と時間、コストがかかっています。この点、国税の所得税申告データを市区町村へ電子的に提供してもらえれば、税務業務の効率化・サービスの向上、コスト削減につながります。このため早期の実現を期待しています。また、今後の計画としては、「納税者の利便性向上」の観点から電子申告利用者を対象に新たなサービスを提供する予定です。具体的には、これまで給与支払報告義務者へ郵送していた特別徴収の税額決定通知書を、電子データ(CSVファイル形式)でも提供するものです。さっそく今年5月から実施します。特別徴収税額通知データは関係法令等により定められたものではありませんが、電子申告の利用者へ行政から再び電子データを戻すことで、納税者は給与情報システムなどへこれを取り込み有効に活用することができます。今後は、そうした双方向性を深めていくことが重要でしょう。地方税の電子化はもはや時代の流れです。電子申告の実施団体が全国へ拡大し、納税者・行政の双方にとって、エルタックスがさらに便利なサービスとなっていくことを期待しています。