電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

──平成20年12月より、地方税の電子申告サービスを開始されました。
勝又
 国税の電子申告が急速に利用件数を伸ばすにつれ、地方税についても電子申告のニーズが高まっています。これを受けて、我々も導入検討を進めていたところ、比較的低価格で導入できるASPサービスが登場し、さらに「個人住民税の公的年金からの特別徴収」制度の施行もあって、裾野市でも電子申告の受付サービスに踏み切りました。現在までの利用状況は、償却資産が40件(全体では約1,300件/以下同)、法人市民税では120件(800件)、給与支払報告書が1,000枚(35,000枚)、年金支払報告書が13,000件(21,000件)、となっています。件数はまださほど多くありませんが、電子申告分については紙での保管をしなくなったので、件数が増えるにつれ保管スペース、保管・廃棄の手間の削減が期待されます。

電子申告、3つの効果

──電子申告によって、税務業務に何か変化はありましたか。
勝又
 業務面では、(1)作業の効率化、(2)税務業務の正確性の向上、(3)コストの削減、の三つの変化がありましたね。まず「作業の効率化」については、これまで申告書へ補筆等を行い、パンチ入力を外部委託していましたが、その一連の作業が軽減されました。ちょうど確定申告前の繁忙期に作業が重なることもあって、作業ピークの軽減にもつながったと思います。また、当初課税の基礎データのセットアップが早まったことも大きな成果といえるでしょう。こうした「時間短縮」「作業の軽減」は、結果的に市民サービスの向上効果をもたらします。例えば、2月初旬から事前相談会を実施していますが、ここで年金支払報告や給与支払報告書等を基礎資料として活用できるだけでなく、マンパワーをほかの業務へ投入することで確定申告の混雑緩和につなげることができますからね。二つ目の「税務事務の正確性の向上」は、電子申告データはほとんどの場合、納税者側のシステムでエラーチェックが行われた上で送信されてくるので、我々は届いたデータをそのまま取り込めばよく、当然、入力作業によるミスも発生しないことから、業務の正確性が向上します。
──なるほど。コストの削減効果は?

勝又 年金支払報告書については、60%強をデータで受け取れるようになり、入力にかかる委託コストを圧縮できました。給与支払報告書は申請件数が限られていることから、まだ目立った削減効果は見られません。ただ、納税者や税理士からは「法人住民税と償却資産は電子申告するが、給与支払報告書は受け入れ団体が少ないため紙で申告する」という声が聞かれることから、電子申告の実施団体が広がるとともに申請件数が増えることは確実で、そうなればより大きな削減効果が期待できるでしょう。

国税連携へ、ノウハウ・経験の蓄積を

──申告データを、基幹税務システムへ自動連携された感想はいかがですか。
勝又
 基幹税務システムと自動連携せずに、業務の効率化は考えられませんね。一度、エルタックス側の「利用者ID」と基幹税務システム側の「納税者コード」の同定作業を行えば、申告データが自動的に取り込まれるため、拍子抜けするほど簡単です。また、セキュリティ面でも、自動連携ならば安心ですね。裾野市ではかねてよりセキュリティ対策に注力しています。特に、情報漏えいについては、平成17年に、すべてのパソコンを「仮想シンクライアント」としてUSBなど外部記憶媒体の利用を制限し、また翌年には生体認証を採用するなど対策を講じてきました。この点、LGWAN経由で基幹税務システムへ申告データを取り込める自動連携は、磁気媒体を使ったやり取りと比べて格段にセキュリティリスクを抑えることができます。その意味ではいま大手事業者との間で、磁気媒体で行っている給与支払報告書の提出や税額通知のやりとりについても、早急にエルタックス経由へと移行したいですね。
──今後、期待している点は。
勝又
 やはり、国税電子申告・納税システム(e─Tax)との連携ですね。これは電子申告の“ビッグバン”になるでしょう。実現すれば、税務署に出向いて行う、いわゆる「マル住申告書」の閲覧業務や、その後の入力・チェック作業から開放されます。これにより、どの程度の効果が期待できるのか──平成20年分の所得税申告の電子申告割合(全国平均31.1%)で算出すると、裾野市では約3,400件を電子データで受け取ることが可能になります。また、市では「TASK.NET申告受付支援システム」を使って、納税者と面談しながら約3,000件の確定申告書を作成していますが、国税連携分と合わせれば約58%が電子化できる計算になります。これは当初課税業務に劇的な変化をもたらします。ただ現状では、せっかくシステムで作成した確定申告書を印刷して送付しており、これは無駄ですよね(笑)。そこで「臨時税理士」の任命を受けた職員についても、税理士と同じように代理申告できるようにしてはどうかと考えています。これについては、国や関係機関の柔軟な対応を期待するところです。
──最後に、電子申告サービスの導入を検討している市区町村へアドバイスを。
勝又
 国税連携を機に導入を考える市区町村は多いと思いますが、いざ連携となった時に混乱しないためにも十分な準備期間が必要です。それには電子申告受付サービスはもちろん、基幹税務システムとの自動連携も早い時期に済ませ、業務ノウハウや経験を蓄積しておくことが肝要といえるでしょう。利用率についても、中堅・大企業が電子申告を始めれば爆発的に伸びることは間違いなく、その鍵を握るのは実施団体の“数”です。皆さんには、ぜひ一日も早くサービスを開始していただきたいですね。