電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

──さくら市では、今年4月1日から4税のクレジットカード収納サービスを開始したということですが。
大貫
 はい。「Yahoo!公金支払い」(ヤフー株式会社)を採用し、軽自動車税、固定資産税・都市計画税、個人市県民税、国民健康保険税のクレジットカード収納のサービスを始めました。利用できるカードは、VISA、MasterCard、JCBの3種類で、税額1万円以下の手数料105円は市が全額負担しますが、1万円を超える場合の手数料については市負担分(105円)との差額を納税者に負担していただきます。
 サービスを開始した最大の狙いは納税者の利便性向上です。当市では、平成21年度から歳出削減のため全納報奨金を廃止し、これに代わる新たな住民サービスを模索していたところ、平成21年にTKCの展示会で「TASK.NET税務情報システム」のオプション機能として提供されているクレジット収納を見て、サービス導入を考えました。

時代に合わせた行政サービスを

──市税のクレジットカード収納を実施している自治体は、全国でも多くはありません。他の市町村に先駆けての導入に不安はありませんでしたか?

大貫 栃木県内では初めての導入となるため、やはり不安はありました。
 さくら市は平成17年に氏家町と喜連川町が合併して誕生した新市です。合併前は、納税者が税金を支払うには、役所や金融機関の窓口で直接納付するほか口座振替しか手段がありませんでした。さくら市になって、コンビニ収納へ対応するなど収納チャネルの拡充へ取り組んできました。
 近年、クレジットカードが市民生活に深く根付くなかで、特に市内に在住していない納税者から公金の決済手段としてクレジットカードを要望する声があがっていました。また、市としてもクレジット収納によって「期限内納付率の向上」や「収納業務の効率化」が期待できます。納税者と市の双方にメリットがあることから、最終的にサービス実施を決めたのです。
──導入予算はすぐ認められましたか?
大貫
 実は一度、予算的な問題で見送られかけましたが、人見健次市長の決断で導入が決まりました。県内初ということで、新聞四紙に記事が掲載されるなど、宣伝効果はあったと思います。
──導入決定から稼動までの時間は?
大貫
 検討期間を含めて半年、実質準備に要した期間は約2か月です。これだけ短期間に導入できたのは、パッケージ製品のため特にシステムを作り込む必要がなかったことが大きかったと思います。予算も200万円程度で済みました。これが一桁違っていたら、いくら宣伝効果があってもすんなり導入には踏み切れなかったでしょう(笑)。
「Yahoo!公金支払い」とのデータ連携にあたっては、事前に(1)定義したデータ形式が双方のシステムで正しく処理できるかを確認する「機能確認テスト」、(2)ダミーデータを用いた「当初賦課分納付テスト」などの検証、(3)税額の変更や、窓口で支払済みのものの二重徴収を防ぐ手続きなどのテスト──を行いました。
 固定資産税は2月に、その他の3税は3月に、それぞれ1週間ほどかけて検証しましたが、要領よくやればもっと短縮できたかなと思います。
──市民の反応はいかがでしたか?
大貫
 懸念していたのは、手数料がかかることを納税者に納得していただけるかという点です。実は全納報償金廃止の際にはクレームの電話も多く、今回も覚悟していたのですが、杞憂でしたね。クレジットカードを利用することで付随するポイント取得などの特典があり、また軽自動車税のような少額支払いは手数料負担がない、などが要因となって住民からも容易に受け入れられたようです。

滞納対策強化に期待

──クレジット収納の現在の利用状況は、どの程度ですか?

碓氷 固定資産税は、4月納期分実績で144件でした。これは全体の0.85%にあたります。また軽自動車税は、5月までの実績で188件(全体の1.13%)でした。ちなみに平成21年度のコンビニ収納の利用率は全体の3%で、これに比べれば少ない数字ですが、立ち上がり時期としてはこの程度かと思っています。納税者は一括払い・分割払いなど支払方法を自由に選択することができるので、うっかり払い忘れていたようなケースは確実に減るのではないでしょうか。催告書の発布などが始まるのは7月以降なので、そこでどれだけ利用率が増えるのかが一つの“鍵”だと思います。

岡本 滞納者対策が、クレジットカード収納を開始しただけで100%解決するとは思いませんが、金融機関の統廃合などで支払い窓口が減少する傾向にあるなか、納税者の利便性のためにも新たな収納チャネルの拡大は必要不可欠ですね。

──導入後、事務処理作業に変化は?
大貫
 手間が増えるようであれば、システム化の意味はありません。ヤフーとのデータ連携にあたり、朝と夕方に最新情報を更新する必要はありますが、所要時間は1日2~3分で、事務的負担は少ないといえます。これまでのところ、一括支払いが多く、利息が余分にかかるリボ支払いの利用率は低いですね。現段階では、クレジットカード収納導入は正しい選択だったと考えています。

(取材・構成/フリーライター・三浦優子)