電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

──東村山市の概要を教えてください。

関根 東村山市は、東京都の北西部、武蔵野台地のほぼ中心に位置しています。都心まで電車で約30分程度という距離にもかかわらず、国宝建造物である正福寺、四季の移り変わりを映し出す八国山緑地など、豊富な文化と自然を有しています。
──公共施設のオンライン予約サービスが、順調に利用されているそうですね。
関根
 公共施設のオンライン予約サービスは、平成15年1月より提供を開始しています。また、平成18年4月には、それまでの庁内の情報化を中心とした計画を見直して、新たに市民・団体との協働など市全体の活性化を目標とする「東村山市情報化計画」を策定し、さまざまな施策を展開してきました。近年、インターネットが一般社会へ急速に普及したことで、行政サービスでもその活用は不可欠ですからね。そこで、システムを更新するにあたり、これまで以上に市民が24時間365日、安心して、安全にサービスを利用できるよういろいろ検討した結果、今年2月に「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」へ切り替えました。現在、公民館やスポーツ施設など市内11箇所の公共施設の予約が可能なほか、予約の抽選結果もオンラインで確認できるようになりました。

松本 現在、3施設を除き、公共施設の予約はすべてオンライン経由となっています。月間利用件数を見ると、キオスク端末からのアクセス件数が最も多くて約4万件、パソコンからが6,000~7,000件、携帯電話までを含めると、ひと月におよそ5万3,000件の利用があります。キオスク端末の利用率が高い理由としては、(1)東村山駅ビル内や各施設など利用しやすい場所に設置されていること、(2)年配者の利用が多いこと、などが挙げられます。施設を利用した後、その場で次回の予約をする方も多いようです。

決め手はノンストップサービスと安全性

──システムの選定にあたり、留意した点は何ですか。
関根
 システム選定にあたっては、公民館や市民スポーツ課など、システムを使う担当者を中心に、機能性、操作性、セキュリティ、サポート体制、価格等を総合的に点数評価しました。特に重視した点は、システムの障害によるサービス停止を極力避けるため、24時間体制でサポートしてくれることでした。これまで庁舎内にサーバを設置していたことから、勤務時間外に発生したシステム障害へ迅速に対応できないなど、運用面で限界を感じていました。その点、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では24時間の有人監視に加えて自然災害への対策も十分施されており、安心して市民の方へサービスを提供できます。そうしたサポート体制に加え、最終的にコストダウンが期待できるASP方式が決め手となりました。実際、これにより、大幅な予算削減を図ることができました。
──市民の個人情報を庁舎外へ預けることに不安はありませんでしたか?
関根
 やはり、当初は「個人情報を民間業者に預けて大丈夫なのか」と、安全性の面で議論となりました。これについては、実際にTISCを視察し、個人情報の取り扱いを審議する「個人情報保護審議会」においてTISCとLGWAN─ASPサービスの安全性などを説明し、了承いただきました。情報漏えい事故のニュースを頻繁に目にするいま、個人情報を第三者に預けることに不安を抱く方も多く、我々としても十分な検討や配慮が必要だと考えます。そこで、市民が利用者登録をする際には、申込書に記入された内容は外部のサーバへ登録されることを説明し、本人の了解をいただいた上で登録しています。ただ、これまでのところ、拒否をされたケースはありませんでしたね。
松本 市民の反応としては、「キオスク端末が使いやすくなった」という声を耳にしたほか、メールでの当選通知が届くのが便利など、以前よりも利便性を感じてもらえているようです。

最終成果は市民が便利になること

──今後の計画を教えてください。
松本
 やはり、行政サービスは誰もが使いやすいものであるべきと考えます。この点、「TKC行政ASP/公共施設案内・予約システム」についても、音声読み上げソフトを導入して視覚障害者にも使いやすいようにするなど、レベルアップをお願いしています。また、東村山市では施設予約のほかにも、アクションプランに沿って行政サービスの電子化へ積極的に取り組んできました。その一例が、「東京電子自治体共同運営協議会」が推進する電子申請を活用した、健康診断や各種講座の申込みのオンライン化です。庁内にポスターを掲示したり、市民への広報に力を入れた結果、平成20年度実績で多摩地区で1位、東京都で3位の利用件数となるなど、いまや電子行政サービスは市民に広く浸透しています。
関根 また、平成23年度から新たに始まる「第4次総合計画」および現在の「情報化計画」に基づき、さらなる情報基盤の強化を予定しています。具体的には、軽自動車税のコンビニ収納サービスをスタートするほか、電子申請や電子調達の推進、電子収納インフラ整備などへ取り組みます。同時に、コストダウンも目指します。そのためには、ASP/SaaSの採用や、クラウドコンピューティングなど新たな仕組みを研究するなど、社会環境の変化へ柔軟に対応していくことも必要でしょうね。情報化計画の最終成果は、市民の皆さんに便利になってもらうことです。これからも「東村山市に住み続けたい」と市民から選ばれる自治体であり続けられるよう、より一層、市民の利便性向上へ努めていきたいと考えています。