電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

──コンビニ収納のサービスを開始された経緯について教えてください。

西條 情報通信技術の進歩により、いまや料金の収納サービスも、従来のように金融機関などの窓口を経由することなく、インターネットバンキングやモバイルバンキングなど、自宅に居ながらにして可能になっています。そこで、大崎市としてもさまざまな収納チャネル活用の第一歩として、平成19年度より軽自動車税と水道使用料のコンビニ収納へ取り組んだものです。実はコンビニ収納は、旧古川市の頃から導入を検討していたんですね。その背景には、県外の納税者への対応や、休日の納付機会の設定、納税組合離れと若年層の収納率向上対策などがあります。最近になって、JA支店の統廃合により、近くに金融窓口がない地域が増えたこともその理由の一つに加わりました。特に大崎市は合併して広大な面積を持つことから、地域によっては最寄りの金融窓口まで車で30分もかかります。また、高齢者世帯の増加という周辺地域特有の問題もあります。そうしたなかで、新たな収納チャネルを増やすことは喫緊の課題となっていたんです。そこで平成18年に、庁内に「ペイジー収納研究会」を立ち上げ、収納に関係する実務者レベルで検討を始め、まずは軽自動車税を対象に、翌年度からコンビニ収納を開始することを決めました
──導入までに何か苦労された点はありましたか。
西條
 コンビニ収納の準備作業としては、収納代行会社の選定やシステムの対応がありますが、「TASK .NET税務情報システム」はすでに実績も多く、その点では心強かったですね。収納代行会社との打ち合わせでも、帳票の確認や印字テストが一回でクリアできるなど、限られた時間のなかで効率よく準備を進めることができました。

20%に迫る軽自動車税の利用率

──利用状況はいかがでしょうか。
西條
 軽自動車税では当初、全体の10%程度の利用を見込んでいましたが、予想を上回り初年度から11.6%の利用があり、驚きましたね。これは軽自動車税の納税額全体の14.5%にあたります。今年度は約6万件の納税対象のうち、7月末現在で約1万2,000件がコンビニで納付され、利用率は20%に迫ろうとしています。また平成20年度からは、市県民税、固定資産税、国民健康保険税、介護保険料も対象としたことで、五つの税目の合計で3万2,000件(7月末現在)が利用されています。このうち固定資産税については、納付額も大きいため、利用は少ないのではと心配していましたが、現実には1万件を超えています。固定資産税の場合、納税義務者が県外にいることも多く、全国どこでも納付ができる点が便利なんでしょうね。
──納税者からの反応は?
西條
 若い人たちは「税を納付する」というのではなく、通常の支払いとまったく同じ感覚でコンビニ収納を利用するようです。また、ほとんどの税が納付できるようになったからか、保育料や幼稚園の授業料などほかの公金についても「コンビニではだめなんですか?」という問い合わせが増えていますね。意外だったのは、高齢者の利用も少なくないことです。もちろん家族の誰かが払っている可能性もありますが…。再発行納付書や督促状もコンビニ収納を可能としたことから、今後も利用は着実に増えるだろうと期待しています。
──収納率に影響はありましたか。
西條
 今年度の収納率は全税目で前年度を若干上回っていますが、これが即“コンビニ収納効果”というには早すぎますね。これは数年の経過を見ながら検証することになるでしょう。収納率の向上は、納税課にとって最大のミッションです。また、収納率が上がれば督促状の発布枚数が減り、発送にかかるコストや作業も軽減できます。そこでコンビニ収納についても導入したら終わりではなく、今後、「どの時間帯の利用が多いのか」といった利用実態をより詳細に把握し、その結果も踏まえながら、収納率向上の対策を考えていきたいと思っています。

収納業務は大幅に効率アップ

──業務効率の点ではいかがでしょうか。
西條
 納付書の消し込み作業は、かなり効率化されましたね。これまで金融機関から会計課に戻ってきた納付済通知書は、OCRで1枚ずつ読み込み、これを納税課でチェックしていましたが、折れてしまった納付書や読み取りエラーなど、最終的には目で確認せざるをえないものもかなりあります。しかし、コンビニ収納になると、すべて電子データで受け取るため、こうした手間から解放されます。今年度であれば、3万2,000枚の納付書を読み込む作業がなくなったわけです。この手間を金額換算すれば相当な額となり、コンビニ収納にかかる手数料は決して高くありません。収納担当者は、納税通知書がないことに多少不安があるようですが、これまでも口座振替は電子データだけで処理しており、その点は新たな仕組みに慣れるまでの問題と考えています。
──今後の計画について教えてください。
西條
 景気後退や少子高齢化など、我々を取り巻く環境は厳しさを増していますが、今後も市民の視点に立って便利なサービスを提供しつつ、収納率の向上に取り組んでいきたいと考えています。納税者の生活環境の変化に合わせて、さまざまな収納方法へ対応していくことも重要で、今年4月から市民病院でクレジット収納を開始しました。手数料面で課題がありますが、税金についても検討を続けているところです。また、ほかの公金についてもコンビニ収納の要望があることから、対応を考えていきたいですね。さらに電子申告・納税などもあります。こうした新たな流れに対応するためにも、TKCにはさらなるシステムの拡充をお願いしたいと思います。