電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

【ユーザー訪問】

タイトル

──高根沢町の概要を教えて下さい。
渡邊
 高根沢町は栃木県のほぼ中央部、宇都宮市の東側に隣接し、人口3万1,000人の町です。中央に広大な水田があり、西南端には皇室の食料を生産している御料牧場が立地しています。

住民情報をいかにして守るか

──このほど、基幹系システムのハウジングに踏み切られました。

渡邊 以前から庁舎内でサーバを管理することには限界を感じており、ハウジングなどの方策を検討していましたが、回線費用や速度の問題などもあって実現には至りませんでした。そうしたなか、本庁舎と支所とを結ぶネットワークを一部、光回線へ切り替えることになり、導入へ向けた環境が大きく整備されました。そして平成20年5月、ハウジングサービスの活用に踏み切りました。現在、住民情報、税務情報など11台の基幹系システムのサーバをハウジングしています。
──ハウジングをした理由は?
渡邊
 最大の理由は、セキュリティにおける「物理的」「技術的」な不安の解消です。高根沢町の庁舎は昭和38年に建設されたもので、当然、現在求められているセキュリティ対策を意識して作られたものではありません。また、自然災害などのリスクを考えると情報資産の二重管理も必要です。特に、栃木県は全国でも有数の雷の多い県です。これまでもサーバなど重要な機器は停電対策をしていましたが、年に数回は雷による瞬断(電気機器への電力供給が瞬間的に途絶えること。パソコンの動作が不安定になったり、作成中のデータが失われることもある)が発生するため、その対策も課題となっていました。さらに技術的な側面としては、コンピュータウイルスや不正アクセスなどのサイバー犯罪が悪質化の一途を辿っています。こうした課題が山積するなか、町独自で適切なセキュリティ対策を施し続けることは、財政面・人員面からも限界がありました。
鈴木 また、各システムの担当者にとっては、従来、プログラムの入れ替えやデータのバックアップ、システムトラブルへの対応など運用管理の面で手間がかかっていました。この点、ハウジングすることで、技術者による24時間365日の監視体制でサーバの運用管理が行われるため、万が一トラブルが発生した場合でも問題の発見・切り分けが早く、迅速な対応や復旧が期待できます。情報管理担当者にとってもトラブルへの不安から解放され、情報政策の策定や情報システムの総括といった本来の業務に集中できますし、人事異動に伴う業務ノウハウの継承といった面でも安心できます。
──データを庁舎外へ保管することに、不安はありませんでしたか。

鈴木 特に不安はありませんでしたね。これまでも、納税通知書の印刷処理などをTKCへアウトソーシングしていたため、その点は心配していません。実際、TKCインターネット・サービスセンターを見学して堅牢な設備に驚くとともに、重要なデータだからこそ庁舎に置くのではなく、こうした専門の施設へ預けた方が安心できるだろうと思いました。

アウトソーシングで固定費削減

──ハウジングの活用で、何か変化はありましたか。
鈴木
 サーバなどの情報資産が庁内にあるか、民間のデータセンターにあるかという違いだけで、表面的には何も変わりませんね。職員も特別に意識することなく、これまで通り業務を続けています。とはいえ、運用・管理面では作業が軽減されましたし、最高度のデータ・セキュリティ体制が整った「サーバルーム」を持ったという感じです。
──その費用対効果は?
渡邊
 まだ稼働して間もないということもあり、費用対効果を実感できるまでになっていません。ハウジングによって回線費用やサービス利用料などがかかりますが、職員の作業負担に関わるコストはもちろん、長期的にはサーバ室の整備拡充にかかる費用なども削減できるだろうと期待しています。ただ、費用よりも重視すべきは、住民情報という機密性の高い情報に対して高度なセキュリティ対策を施せる点だと思います。我々が扱う情報は、あくまで“住民に関わるもの”であり、漏えいや災害などによるデータの損失などは絶対にあってはならないことです。セキュリティ研修や内部監査を実施していますが、それだけでは対策として十分ではありません。最悪の事態を想定すれば、やはりほかの場所でデータバックアップが行われるハウジングが有効でしょう。
南木 法律上の制約から、戸籍サーバなど一部のサーバについては、まだ庁舎内で管理していますが、将来的にはすべてのサーバをハウジングしたいと考えています。具体的な時期は未定ですが、今後の法改正などの動きも見ながら判断したいと思っています。
──今後のご計画を教えてください。
渡邊
 平成18年に、「安心して暮らせる地域社会」と「持続的に成長できる仕組み」の実現を基本理念とする『地域経営計画』を策定しました。その重点テーマに「行政体質改善プロジェクト」を掲げており、今後、民間企業等へのアウトソーシングの積極的な活用を考えています。これにより、地域経営にかかる固定費を削減し、住民サービスに必要な財政を確保しようというものです。今回のハウジングはバックエンド側の取り組みですが、住民サービス向上の観点から平成20年9月より公共施設案内・予約サービスを開始しました。行政体質改善への取り組みは、まだ始まったばかりですが、「安心して暮らせる地域社会」と「持続的に成長できる仕組み」の実現へ向けて、今後も努めていきたいと考えています。