電子自治体推進を支援する情報誌「 新風」

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──これまでの情報化の取り組みについて教えてください。

峰田 清水町では、昭和57年に汎用コンピュータを導入したことが、行政事務の電算化の始まりです。その後、平成10年にTKCのC/S(クライアント・サーバ)システムへ移行しました。この間、電算業務を担当する当時の情報管理係では着実に専門性を高めて、汎用機のシステム構築やC/Sシステムの運用管理を担ってきました。しかし昨今は、情報化の進展とともにICTへの業務依存度が一段と高まったことで、担当者にはさらに幅広い専門性が求められるようになっています。このことは職員の負担増に加え、その専門性ゆえに人事が固定化される要因ともなり、システムと組織の見直しが喫緊の課題となっていました。そのために、我々が新たなシステムの利用形態として選択したのが、「TASKシステムのハウジング型」(サーバのハウジング+シンクライアント版TASK.NETシステム)です。東日本大震災の影響もあって、当初予定を前倒しし、今年7月にTKCのデータセンター(TKCインターネット・サービスセンター)へサーバを移設、同時に庁内のパソコンのシンクライアント化を完了しました。また、これにより情報化推進係を廃止しました。

最少の経営資源で最大の効果を

──リプレース時期と関係なくシステムの利用形態を変更する例は少ないと思いますが、組織改編という大きな流れのなかで早々と決断されたわけですね。

大嶽 清水町では、昨年11月に『第4次清水町行政改革大綱』を取りまとめました。その実施計画のなかで今後の課題として、「情報化の推進に関わる事務の整理を行い、専門的な知識や経験が求められる事務は外部委託を進め、それ以外の事務は担当部署への分散を進めていく必要がある」ことが示されました。私どもは小さい町ですので職員数も限られます。そのため、各職員がいろいろな業務へ幅広く対応することが求められます。地方分権の推進に伴う権限委譲により事務量は増加する一方、定員適正化計画により職員増が見込めないなかでは、町が真に果たす役割を見極めて、業務の“選択と集中”を図る必要があります。もちろん、ハウジング型へ移行するには新たな投資が発生しますが、情報化推進係の人件費と比べ委託費が同額以下であれば、切り替えのメリットは高いと判断しました。

岩崎 中長期的には、職員の負担軽減とともに、コスト削減を図ることができると考えています。現にハウジング型への移行に伴い、システム更新やサーバの運用管理に割く時間や労力は格段に少なくなりました。また、移行にあたり各課にはサーバを移設すると伝えた程度で細かな説明はしていなかったのですが、実際に業務への影響はほとんどありません。
──利用形態を切り替えるにあたり不安はありませんでしたか。
峰田
 ハウジングについては以前から検討しており、また実際にデータセンターを視察して最高度のデータセキュリティ体制を確認したこともあって、不安はありませんでしたね。むしろ、清水町と同規模のハウジング利用団体で、情報主管部門なしでも庁内システムが円滑に運用されていることに驚き、我々の判断が間違っていないことを確信できました。

終わりなき効率的な行政経営の探求

──業務の継続性の観点ではいかがでしょうか。
大嶽
 ご承知のとおり、清水町は東海地震の地震防災対策強化地域です。庁舎の建つ一帯はもともと田んぼだったそうで、液状化のリスクもあります。その点、東海4県以外のデータセンターの活用により、業務継続性の観点からもデータの安全性を確保できたと思います。また、清水町は東京電力管内に立地することから、節電対策の一環として7月・8月の2か月間については木・金の午後を閉庁し、かわりに土曜日を開庁することとしました。今回、13台のサーバをデータセンターへ移設したことで熱源がなくなり、これまでサーバルームで使用していた2台のエアコンのうち1台を止めています。こうした取り組みにより、昨年に比べて役場全体の電力消費量を4割近く削減できました。その意味では、ハウジングは節電対策にも一役買っているといえます。
峰田 特に東日本大震災以降、システムの利用形態は“持つことから使うこと”へ変化したと感じています。健全な財政運営と簡素にして効率的な行政経営、あるいはリスク分散として、ハウジングやクラウドの活用はもはや必然でしょう。清水町としても次代を見据えて、今回移設したサーバの更新時期に合わせて、サーバを共同利用する「クラウド型」への切り替えの検討を開始しました。
──なるほど。
大嶽
 また、積極的な情報発信のために、専門知識がなくとも各課から町のホームページにコンテンツをアップできるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入を検討しています。情報化推進係は廃止しましたが、全庁的な情報システムの最適化やITリテラシーの向上のための職員研修は継続します。やるべきことはたくさんあります。今後も時代の変化を見据え、時代に即応した効率的な行政運営に取り組みます。